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ベイスターズを黒字化した社長が語る「大切にしたのは“デザイン”と“センス”」

史上最年少球団社長の「常識を超える」経営術(2)

『スポーツビジネスの教科書 常識の超え方 35歳球団社長の経営メソッド』(池田 純 著)

※史上最年少社長が明かす「常識の超え方」1より続く


 史上最年少の35歳で横浜DeNAベイスターズの球団社長に就任し、5年間で赤字24億円から5億円超の黒字化に成功した池田純さんが『スポーツビジネスの教科書 常識の超え方 35歳球団社長の経営メソッド』を上梓した。

 52億円の売上に対して24億円の赤字――。経営者からすると“倒産状態”の組織を託されたということになる。再生に至る奇跡の道のりはどのようなものだったのか。インタビュー前半では、池田さんが社長を引き受けた当時の心情と、改革に据えた戦略「順次戦略」「散弾銃戦略」について語ってもらった。

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――池田さんの頭の中では“意思決定権者”として、大きな構想があり未来のビジョンが見えている。ただ、それを組織全体に浸透させて、人を動かすのは決して簡単なことではないような気もしますが。

成功ののち球団社長を退任して新たなビジネスを展開する池田純さん。

池田 意思決定権者だったら、ほとんどのことはクリアできますよ。ゴールがあって、クリアしなければならない障壁やしがらみを取り除いていけばいいだけじゃないですか。ただ、とにかくパワーは要ります。みんなに嫌われても、失敗すると言われても、やり切るしかない。ひとつひとつ結果を出して納得してもらうしかないんです。特に3年目まではほとんどの人がやろうとしていることをおぼろげにしかわかっていなかったと思うんです。

 でも、経営者の自分としては、しっかり3年間積み上げてきて4年目、5年目のビジョンが見えていました。だからいくら批判を受けようが、ブレずに戦い続けることが必要です。どんなに大きな構想や理想を掲げても、経営者がブレたら組織は強くなりません。

――これをやれば道が開けるというポイントは何だったのでしょうか。

池田 面白いことをやる、ということに尽きます。野球以外にも面白いものを作り出して、スタジアムにいる時間を楽しくする。野球は9イニングの間に計16回の“合間”がありますし、実際にボールが動いている時間は平均5分強しかありません。いかに野球そのもの以外の部分でエンタテインしてもらうかが重要です。

 だからこそ、イニング間にはトイレに行く時間すら悩ませるような楽しいイベントを次々に開催し、飲食でも球場メシの常識を覆すようなちょっと高くても“旨楽しい”スタジアムメシを追求しました。グッズについても、“本物”の商品をつくるためにデザインに徹底的にこだわりました。