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「小池百合子でしょうがないか」心理がもたらす「本命不在」という永遠の課題

2017/07/06

genre : ニュース, 政治

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 私ら都民は、ババアが天の岩戸に立て籠もる寸劇をもうすぐ見ることになると思うんですよ。

生きている内田茂

 まず、悪役にされていた自民党都連の「ドン」内田茂を出している千代田区民として、一言言わせていただきたい。町の行事で、町内会で、いままで十何回と「生きている内田茂」を見てきた私からしますと「ひょっとして内田茂のケツから出ているコードがコンセントから外れてるんじゃないか」と思うぐらい、凄みのない、静かなおじさんなんですよ、内田茂。

ドン、内田茂(中央) ©杉山秀樹/文藝春秋

 そもそも、千代田区に新しく来た住民は内田茂とか知りません。ずっと神田淡路町に住んでる婆さんたちとかと寄り合いで内田茂話になっても、最近できたマンションの住民は内田茂って言われても「歌手ですか」とか聞き返すレベル。それ松崎しげるだろ。まあ、当たり前ですよね、地方議員なんて普通の人知りませんから。仮に知ってても地蔵か置物ぐらいにしか思ってないんですよ。地元で政界を揺るがすドンと言われても、案外そんなもんなんですよね。

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都議会選挙、その「仕上がってない感じ」

 んで、今回都議会選挙がありました。ぶっちゃけどこも応援してない私はここで困るわけですよ。誰に投票するんだこれ。都民ファーストの会からは樋口さんという髭男爵の山田さんじゃないほうが出馬したと思ったら別人だったとか、自民党はそのドン内田茂が引退したので公募でやってきた気の強そうな丸顔の変なのが立候補していて非常に萎える展開であります。自宅付近で各陣営が演説していましたが、良く言っても「フレッシュさを前面に出すのはいいけど、なんですか、その仕上がってない感じは」という。

 残る立候補者は共産党のテンプレ候補と昨今泡沫候補の新星として話題沸騰中の後藤輝樹さんでして、自民はちょっと、都民ファーストは気に入らない、共産党などとんでもないってなると、自動的に後藤輝樹さんになるんですよ。批判票のはけ口としての泡沫候補。私はね、そういう輝ける泡沫候補は大事だと思っとるんです。馬鹿でもネタでも少しまとまった金さえあれば立候補できる。これこそ民主主義じゃないですか。責任ある有権者として棄権は嫌だって考えると、うっかり後藤輝樹さんに投票してしまうわけです。開票速報が出た後で私と志を等しくする600余名がいることを確認して千代田区も捨てたもんじゃねえなと思うわけであります。次も楽しい芸を魅せてくれよ後藤輝樹。

後藤輝樹(2015年千代田区議会選挙ポスター) ©時事通信社