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稲田朋美を最後まで叱り続けた“保守おじさん”は「読売」か「産経」か?

辞任までの「怒りのさじ加減」を検証してみる

2017/07/28

genre : ニュース, 政治

 稲田朋美防衛大臣にイライラする保守派の「読売」「産経」、というコラムを先日書いた。(稲田朋美の不始末に“保守おじさん代表”「読売」「産経」が怒る怒る怒る

 その稲田大臣がここにきて、ついに辞任を表明した。南スーダンPKO日報問題だ。

読売と産経の「怒りの度合い」を比較してみる

 私が驚いたのは7月20日の「読売」の2面だ。

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「稲田氏、虚偽答弁か」「与党・防衛省からも批判」

「読売」は「虚偽答弁」というインパクトのある言葉を大々的に使用したのだ。

 ナベツネの、いや「読売」のご立腹の様子が行間からみえるではないか。

安倍首相と稲田朋美防相 ©時事通信社

 一方、この日の「産経」。

 稲田大臣は、

《防衛省・自衛隊内で求心力を失っており、格好のスケープゴートになったとの見方もある。》(7月20日)

 と書いた。

 稲田氏に怒る「読売」とは対照的に「産経」は稲田氏の現状を淡々と分析していた。というか、とっくに見放していた?

 さてその翌日。「読売」をひろげたら、あっと思った。

「防衛省 不信の渦」(7月21日)

 3面をほぼ使っての大きな記事であった。「意趣返し」という文字も躍る。これはどういう意味か?

《日報問題では、制服組(自衛官)が公然と不満を述べるまでには至っていないものの、水面下で「稲田氏の隠蔽への関与を印象づけようと、陸自が政治的に激しく動いている」(政府関係者)という構図となっている。》

 つまり「意趣返し」とは、陸上自衛隊の「制服組」が「稲田氏や背広組を人事や処分で道連れにしようとする」ことだという。