上半期でもっとも「勝った」のは誰だろう。将棋の藤井聡太四段の29連勝は圧倒的だった。
でも藤井四段に負けず劣らず、勝ちっぱなしの半年間を送った人物がいる。稲田朋美防衛大臣である。
あれだけ失言や問題発言を繰り返しても「辞めさせられない」「地位は安泰」って最強ではないだろうか。間違いなく勝ちっぱなしだ。
この半年、事あるごとに「読売社説」は稲田防相を叱っていた
では稲田大臣の「連勝記録」を振り返ってみたい。なにぶん件数が多いのでまとめが役立つ。
「稲田朋美防衛相の就任後に起きた資質を巡る問題」(毎日新聞・6月29日)を参考にする。
最初は2月の南スーダン。衆院予算委員会で、日報に「戦闘」の語句があったことに対して「憲法9条上の問題になるので『戦闘』ではなく『武力衝突』の言葉を使っている」と答弁。まず1モメ。
この発言に対し、苦言を呈したのは「読売新聞」2月10日の社説である。
《やや疑問なのは、稲田氏が「憲法9条上の問題になる言葉を使うべきではないから、武力衝突と使っている」と答弁したことだ。憲法上の問題があるのに、表現で糊塗しているかのような誤解を招きかねない。稲田氏には、より慎重で的確な発言を求めたい。》
「読売」は、「自衛隊の活動には問題ない」という政府見解は「妥当」という立場なので、稲田大臣には「誤解を与えるようなことは言うな」と叱っている。
続いて3月。稲田大臣は教育勅語について「精神は取り戻すべきだ」と参院予算委で答弁。これで2モメ。
これに対し「読売新聞」4月6日の社説。
《歴史を学ぶ教材として、教育勅語を用いることは、何ら問題がないだろう。ただし、道徳などで教育勅語を規範とするような指導をすることは、厳に慎まねばならない。》
《確かに、親孝行や夫婦愛など、現在にも通じる徳目を説いている面はある。しかし、教育勅語を引用しなくても、これらの大切さを教えることは十分に可能だ。》
またしても叱られる稲田氏。