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元月ベイ編集長が宜野湾で考えた 筒香嘉智の抜けた穴をどう埋める?

文春野球コラム オープン戦2020

2020/03/05
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「今シーズンのDeNAベイスターズの注目ポイントは?」と問いかければ、誰もが「筒香嘉智が抜けた穴をいかに埋めるか」と答えることだろう。実際にキャンプの報道を見ていても、ほとんどがそこに焦点を当てたものになっていた。

 昨シーズンまで打線の核としてはもちろん、キャプテンとして文字通りチームを引っ張る大黒柱が抜けたのだから、そこに注目が集まるのは当然のことだ。おそらく今、月刊ベイスターズ(月ベイ)でキャンプ特集号を作るとすれば、メイン企画は『ポスト筒香をめぐる争いを抜け出すのは誰だ!』で間違いないだろう。そんな視点でアトムホームスタジアム宜野湾へと足を踏み入れた。

“ポスト筒香”と言われる選手たち

 まずは“ポスト筒香”と言われる選手たちの顔ぶれを見てみよう。最も注目を集めたのは、ラミレス監督からレフトのポジションと四番の後継指名を、そして当の筒香からはキャプテンの後任に指名された4年目の佐野。そしてメジャー通算33本塁打の実績を誇り、文字通り筒香の穴を埋めるべく獲得した新外国人オースティン。復活とレギュラー奪還を期する14年目の梶谷。チームトップクラスの飛距離を持つ若手の大砲候補・細川。さらにファームでは断トツの数字を残し、今オフのメキシコウィンターリーグ参戦でひと皮むけた関根。そして筒香とはタイプこそ違うものの、レギュラーの座を虎視眈々と狙っている乙坂や楠本といったところだろうか。「外野のレギュラーは一人もいない。誰がポジションをつかんでもおかしくない」という上田外野守備走塁コーチの言葉通り、ポスト筒香に限らず、一番センター定着を狙う神里はもちろん、2年連続ホームラン王に輝いたソトさえも巻き込んで、3つの外野のレギュラーの座をめぐる戦いは開幕まで、いや開幕後も熱く燃え続け、目を離すことが出来ないことだろう。

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筒香からキャプテンの後任に指名された4年目の佐野恵太 ©文藝春秋

 顔なじみのあるチーム関係者と話をしていた時のことだった。彼の発した言葉にハッと気づかされた。

「筒香の抜けた穴は誰かが埋めるものでも、誰か一人で埋められるものでもないんです。だから今は、全員で新たなチームを作り上げていくんだ、みんなそういう意気込みでキャンプに臨んでいますよ」

 そういえばキャンプ前日のミーティングでラミレス監督は「筒香はチームを去った。しかし、みんなの力で助け合えば昨年までより良いチームになれる」と話していたという。昨年の流行語大賞ではないが、今シーズンのDeNAベイスターズのキーワードは、まさしくワンチームなのだろう。

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