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育成からの再出発 ホークス・黒瀬健太選手に“レジェンド”城島健司さんも注目

文春野球コラム オープン戦2020

2020/03/01

 新型コロナウイルスのこれ以上の感染拡大を防止するため、NPBはオープン戦全試合を無観客試合とすることを発表しました。いち早く事態が収束し、安心してプロ野球を楽しめる日が来ることを切に願いながら、先にある明るい未来を想像して読んで頂けたら幸いです。

注目すべきホークスの若き大砲候補

 2月1日に始まった宮崎春季キャンプをホークスは27日に打ち上げました。今春、そこで注目の的となった若鷹スラッガーは、3年目・リチャード内野手でした。育成ながらA組に大抜てきされ、降格することなく1軍選手たちに食らいついていきました。藤本博史3軍監督に「飛距離は“ギータ級”」とまで言わしめた逸材は、一世一代の大チャンスに目の色を変えて取り組むと、実戦3試合連続ホームランを放つなど猛アピール! そんな姿は多くのメディアにも報じられ、リチャード選手の支配下登録への期待感も日に日に高まっていきました。

 しかし、ホークスにはまだまだ注目すべき大砲候補がいることを忘れないで欲しいのです! リチャード選手が猛アピールを見せてきたA組の練習場・アイビースタジアムから小走りで15秒。目と鼻の先にある生目第二球場で、負けじと快音を響かせていたのは黒瀬健太内野手でした。

 高校通算97本塁打(歴代3位)のパンチ力を引っ提げ、2015年ドラフト5位でホークスに入団しました。しかし、2018年オフに戦力外通告を受け、昨季から育成選手としてプレーしている黒瀬選手は、支配下返り咲きへ黙々とバットを振っていました。2学年後輩のリチャード選手に先を越されるまいという思いもあるはずですが、どっしり構えて挑み、大きな成長曲線を描いています。

昨季から育成選手としてプレーしている黒瀬健太内野手 ©上杉あずさ

球界のレジェンド・城島健司さんも称賛

 そんな黒瀬選手にキャンプ中、球界のレジェンドが声を掛けました。

「身体からバットが離れないところが黒瀬君のいいところやね~」

 現役時代から衰えることない広く鋭い観察眼で若鷹をチェックするのは城島健司さんでした! 昨年から就任した王会長付き特別アドバイザーとして、15年ぶりにホークス球団に復帰しました。チームに帯同中は選手の様子を視察したり、アドバイスを求められたら対応したりしています。そんな中で目に留まった黒瀬選手に城島さんは声を掛けたのでした。

 黒瀬選手は身体に近い位置でバットを構えています。構え位置が身体から遠いとバットの出が遅れ、ミスショットが増えてしまいますが、黒瀬選手はスムーズに打ちにいけているということでした。

「実は去年1年間、ずっと身体の近くで構えることを徹底してきたんです」と黒瀬選手はニッコリ。城島さんに褒めてもらえたことで、取り組んできたことが身になったのだと成果を実感していました。

 その球界のレジェンドも褒めた“黒瀬君のいいところ”は、実は球界の大先輩からの助言によるものでした。

 自主トレで師事しているヤクルトスワローズの川端慎吾選手、山田哲人選手に「身体の近くで構えるように」とアドバイスをされたのだそうです。史上唯一3度のトリプルスリー達成者である山田選手に「打ち方は言うことないよ」とまで言われた天性の打力を生かすためにも、黒瀬選手はそこを意識して、自身の殻を破ろうと必死にバットを振ってきました。