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「ガンダム」「ヤッターマン」メカニックデザイナー大河原邦男のデザインマンホールが爆誕

マンホーラーの巡礼――多摩編 #1

2020/04/22
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ファンから資金をつのって設置された「ラブライブ!」蓋も

 静岡市のちびまる子ちゃん蓋や沼津市のラブライブ!蓋、広島県呉市の戦艦大和蓋など、モニュメント化しているデザインマンホール蓋がある。稲城市の蓋もそれに近い。こうした観光資源系デザインマンホール蓋はカラー蓋を1枚のみ作るケースが多い。同じ銅像を複数設置しないのと同じで、モニュメントとしては1つで十分だという考え方だ。全国的なキャラクターにモニュメント化の傾向が顕著にあらわれている。

 ガンダム、アトム、のらくろなど社会的認知度が高い全国的なキャラクターは観光資源化しやすい。すでに共有できる物語性をもっているからだ。さらに設置場所との関連性がハッキリすれば、観光資源として成功しやすい。しかし、全国的なキャラクターでも設置主体の愛情と、地域のかかわりによる物語性がないと大きな成功はおさめにくいと思う。

 静岡県沼津市に設置されたアニメ「ラブライブ!」の蓋は、クラウドファンディングでファンから資金をつのって寄贈設置された。ファン自らが協力したという意識をもって設置されている。物語性を獲得して観光資源化した成功事例といえる。まさにファンの愛情の発露だ。感動する。

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地域のかかわりによる物語性

 地域PRのためのご当地キャラクターは、くまモン、ふなっしーなど一部有名キャラクターを除いて社会的認知度が低い。観光客にとっては無名だ。設置主体の愛情と、地域のかかわりによる物語性がないと観光資源として大きな成功にはつながらない。多摩地区その2・3では、その点を工夫して素晴らしい取り組みをしている自治体を紹介するつもりだ。

稲城市 スコープドッグ蓋

 なお、紹介した蓋は東京都の「東京都 デザインマンホール蓋設置・活用等推進事業」で設置されているが、連動して「TOKYOデザインマンホール モバイルスタンプラリー」(スマートホンからのアクセスのみ)が開催されている。スマホとGPSを利用して全42か所の蓋をまわるというスタンプラリーだ。スタンプラリー攻略にも役立つように、対象の蓋には(スタンプラリー対象)と表記してある。

 さらに連動して、マンホールカードが発行される。背景が金色の特別版だ。対象の蓋には(マンホールカード特別版)と表記してある。2020年3月9日月曜から配布開始の予定だったが、コロナウイルスの影響で残念ながら延期されている。配布予定は未定だ。

写真=竹内正則

中編「「かわいいは正義」サンリオの街・多摩市に登場したキティちゃんのデザインマンホール」へ続く

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