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小石 輝
2017/08/20

「ジョジョの奇妙な冒険」映画版の逆襲――なぜ、舞台はスペインでなければならなかったのか?

サブカルスナイパー・小石輝の「サバイバルのための教養」

 どんな映画にも謎がある。そして、その謎を解くことこそが、映画を見る喜びの核心にある。

「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」の最大の謎とは、いうまでもなく「なぜ、舞台のS市杜王町はスペインでなければならなかったのか」ということだ。

©2017 映画「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」製作委員会 ©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

「ジョジョの奇妙な冒険」が映画化されるとの一報を聞いた時、大半のクールなジョジョラーの胸に湧いたのは「まあ、とことんひどいことになるだろうなあ」という薄笑い混じりのシニカルなあきらめの思いと、「でも、どんぐらいの惨状になっているのか見届けるのは、ジョジョラーとしての責務!」という倒錯した愛情だったはずだ(ちなみに、ディープなジョジョファンは自らを「ジョジョラー」、あるいは「ジョジョ紳士」「ジョジョ淑女」と呼ぶ。もちろん、私もその1人だ。どんくらいのジョジョラーかというと、2003年6月22日に開催された伝説のイベント「第1回ジョジョ立ち in 渋谷」に集結した68人の選ばれしポージストの一員だった、ということで理解していただけるだろうか。イベントの詳細はこちらのルポを参照されたい)。

 しかし、監督が三池崇史ということを聞いた時、私の心は一変した。梶原一騎のレジェンド的名作「愛と誠」をミュージカル映画! に仕立て、しかも伊原剛志演じる座王権太が歌う「狼少年ケン」で、私の心に一生もののトラウマと感動を与えてくれた三池監督の狂気であれば、ジョジョの原作者・荒木飛呂彦の狂気にも必ずや対抗できるはず。

 2人の天才のぶつかり合いは、あの1981年田園コロシアムでの伝説の一戦、スタン・ハンセン対アンドレ・ザ・ジャイアント戦に匹敵するインパクトや興奮を与えてくれるに違いない。もはや期待度はオーバーレブ寸前!