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「落ちたら死ぬ!!」初ドライブに選んだ国道157号が恐怖の“酷道”だった話

そして私は酷道に目覚めてしまった

2020/06/06

genre : ライフ, , 娯楽, 社会

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商店街の先には、見たことのない光景が!

 しばらく歩いてみると、アーケードが一旦途切れ、踏切が現れる。すぐ近くに近畿日本鉄道の瓢箪山駅があり、遮断機が下りると短時間で多くの人や自転車が滞留していく。踏切の先では、再びアーケードに突入する。こちらは、サンロード瓢箪山商店街だ。

 線路を挟んだ2つの商店街は、いずれも瓢箪山という地名が付けられている。その名にちなんで、瓢箪をあしらったデザインがあちらこちらに見られる。商店街は多くの人で賑わっていて、この時間、車ではとても走れそうにない。とはいえ、夜間は自動車が通るため、商店の間には速度制限を示す道路標識が顔を覗かせている。

 私は20時になるのを待ち、自動車で商店街に入ってみた。商店街の人通りに大きな変化はなく、相変わらず賑わっている。だがそこへ、正面からも、後ろからも、次々と車が進入してきた。往来するのは、車だけではない。多くの歩行者もいる。

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20時までは普通の商店街だが……
20時以降は車の通行も可能になり、一気に“酷道”と化した

予想外の面白さこそ酷道の魅力

 進むタイミングをうかがっていると、原付が車の間を縫うように爆走していった。歩行者、原付、自動車が入り乱れ、大変な状況になる。これは、山間部の酷道よりも走りにくい道かもしれない。そして恐らく、この時間帯が最も過酷を極めている。“酷道170号”の真骨頂は、20時過ぎにやってくるのだ。

 このように、酷道にも様々な“酷さ”と魅力がある。山村部の集落を貫く酷道では、地元の方にお話を伺ったり、偶然見つけた廃墟を覗いてみるなど、予想できない面白さもある。同じ酷道であっても、行く時間帯や季節によっても表情は異なる。落ちて死なないように注意は必要だが、たまにはバイパスをやめて酷道を走ってみると、思いがけない楽しさが待っている……かもしれない。

 

撮影=鹿取茂雄

「落ちたら死ぬ!!」初ドライブに選んだ国道157号が恐怖の“酷道”だった話

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