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76歳になった久米宏 ついに“レギュラー消滅”の胸中とは「テレビ局の“予算がない”は言い訳…」

76歳になった久米宏 ついに“レギュラー消滅”の胸中とは「テレビ局の“予算がない”は言い訳…」

「これでお別れっていうわけじゃありませんから」

2020/07/14
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「テレビ局の“予算がない”は言い訳に聞こえる」

『ラジオなんですけど』終了と前後して、昨年11月、久米は「Kume*Net」というサイトを開設し、インターネットでの動画配信を始めている。ここでもプロとして振る舞おうとする姿勢がうかがえる。最近のインタビューでは次のように語っていた。

《ただ、YouTuberは皆、素人ですから、その中でプロの放送人は何をすべきかっていうことですよね。素人の面白さとプロの面白さの違いはどこなのかを考えないと。僕、今、インターネットで仕事を始めたので、この辺を痛感しているんです。インターネットは本当に予算がない。だから、放送局の「予算がない」は言い訳に聞こえて。例えば今は一眼レフカメラで動画が撮れますから、カメラマンが素人でもいいんじゃないか、とか》(※6)

「Kume*Net」で久米は、視聴者からの投稿をとりあげつつも、基本的にひとりでしゃべっている。これはこれで面白いものの、彼がひたすら持論を語るというスタイルゆえか、ちょっと押しつけがましさも感じてしまう。思えば、『土曜ワイド』のレポーター時代には永六輔、『ザ・ベストテン』では黒柳徹子、また『ラジオなんですけど』でもアシスタントとして局アナの小島慶子(のちにフリー)や堀井美香をつけるなど、久米の番組にはいつも相手役がいた。そのなかで相手にツッコミを入れたり、逆に相手のほうから話が暴走しがちな彼をたしなめたりして、トークが転がっていくことも多々あった。受け手としては、そうしたやりとりがあったからこそ、番組に入りやすかった気もする。現時点では予算的に難しいのだろうが、いずれ「Kume*Net」でも相方をつけたり、またゲストを招いてのトークも期待したいところである。同時に、『ラジオなんですけど』の終わりに語ったように、彼が再びラジオに戻って来てくれる日を待ちたい。誰よりもラジオを愛する人だから、案外その日は遠くないような気がするのだが……。

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※1 『週刊ポスト』2018年1月12・19日号
※2 久米宏『久米宏です。 ニュースステーションはザ・ベストテンだった』(世界文化クリエイティブ、2017年)
※3 『週刊文春』2018年1月4・11日号
※4 『新・調査情報』2007年5・6月号
※5 『文藝春秋』1995年7月号
※6 『民放』2020年5月号
 このほか、『広告批評』1985年6月号、久米麗子・久米宏『ミステリアスな結婚』(講談社文庫、2005年)なども参照しました

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