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菅野 朋子
2017/09/01

韓国の軍事安保研究所トップが語る 北朝鮮をめぐる衝撃のシナリオ

 8月29日早朝、北朝鮮が北海道上空を越える弾道ミサイルを発射し、国際社会は騒然となっている。

©getty

 韓国では26日に北朝鮮が発射した飛翔体を当初「発射砲(ロケット)」とし、「弾道ミサイル」と発表した米国の見解と異例的に食い違ったが、28日には修正。韓国内では、「対話路線を固持する文在寅政権はロケットにしたかったのだろう」などと揶揄されたが、そんな軽口も一気に吹っ飛んだ格好だ。

「これは始まりに過ぎません。これから北朝鮮は数回ICBMの発射実験をし、核実験も行う可能性が高く、トランプ大統領は重大な決断を促される」と警鐘を鳴らすのは、韓国の中央日報軍事安保研究所の金珉奭(キム・ミンソク)所長だ。金珉奭所長は韓国国防研究院の先任研究員から中央日報の軍事専門記者に転じ、2010年には国防省のスポークスマンに抜擢され、5年3カ月務めた。研究員時代の1989年には国防省の要請を受けて米日韓で初めて北朝鮮の核の能力を工学的に研究したことでも知られる。

 金珉奭所長に今後の北朝鮮情勢について聞いた。

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来年初頭までにICBMが完成

――8月29日、北朝鮮は日本上空を通過する弾道ミサイルを試験発射しました。

「北朝鮮のICBMの技術は国際水準にまで上がっています。8月23日には労働新聞の一面で、国防科学院化学材料研究所の内部を公開しましたが、写真を見る限り、来年の初めまでにはICBMが完成するとみられます。金正恩労働党委員長がこうして軍事機密まで公開したのは、ICBMの技術レベルを見せつけるためでしょう。7月28日に行った発射実験では高い角度で撃ちましたが、もう少し正常な角度で撃てるところまで来ている。8月29日の試験発射は始まりにすぎません。これから2、3回行うでしょう。また、日本を越えて米軍の迎撃が困難なグアムとハワイの近辺を狙うのではないかと推測します」

金珉奭所長 ©菅野朋子

核実験も年内に

――6回目の核実験も年内に行われる?

「秋にはするでしょう。北朝鮮は今まで5回核実験を行っていて、内容は、プルトニウムを使ったものが3回、ウランは1回、ブースト型(増幅)核分裂爆弾は1回でした。

 北朝鮮は今、核施設で使用済み核燃料を再処理したプルトニウムを50キログラムほど保有しているといわれ、ここから10個分の核兵器をまず作り、次にウランそして同時に失敗していたブースト型での6回目の核実験を行うものと見られます。この6回目の核実験は北朝鮮にとってはとても重要な実験になる。もし、これが成功して北朝鮮の核武装が現実になれば、問題は米国がサージカルストライク(ピンポイント先制攻撃)ができなくなることです。

 核武装前であれば、北朝鮮がやれることには限りがありますが、核武装後となれば、『駐韓米軍基地のある韓国の平沢や、ソウル、駐日米軍基地に撃ちますよ』と出てくる。駐日米軍基地の横須賀も対象になります。こうなると、米国はピンポイント攻撃ができなくなる。核武装を許容するしかなくなってしまうのです」

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