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「ショート2万、朝まで4万。置屋ではママが…」“ヤバい島”の実態を元ヤクザが赤裸々証言

『売春島 「最後の桃源郷」渡鹿野島ルポ』#2

2020/09/20
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暴力団組員が売春島でシノギ

 かつて、これほど島の実態が赤裸々にされたことがあっただろうか。偶然とは言えXに出会い、貴重な話を聞けたことに僕は、興奮を隠せないでいた。

 この告白からは、暴力団組員が、カネのために売春島でシノギをし、女に裏切られ逮捕の憂き目に遭ってしまったまでの顛末が分かる。関係者しか分からぬ実態も語られており、それなりの説得力も感じられる。

 このXへの取材は、こうして僕が“売春島”について調べ始める5年前、2012年のことだった。

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 男は言っていた。

 置屋のママと直に仕事した方が稼げると思って、途中からA組の姐さんを飛ばして取引した。以降は、自分が直で、島に女を連れていった。だから一介のブローカーでは知り得ない話を知っている、と。

島の海辺でたたずむ女性(著者提供)

 しかし、である。1990年代当時、ライター式の探知機のような精巧な機械があったのだろうか。また、それを導入するほど島は厳戒態勢にあったのだろうか。

 さらに“水シャワー”も疑わしい。200万ものバンスを出すことをかんがみれば、女は引く手あまただったはずである。数ヶ月もすれば完済して自由の身になれるわけだし、脱出方法も海を泳ぐしかない。たとえ不満を漏らしていても、お灸を据えるより、心のケアを優先して気分よく働かせた方が得策ではないのか。

 僕には正直、Xのリップサービスがあったのではとの疑念があった。Xにもう一度会い、顔と顔を突き合わせ、その是非を確かめなければならないだろう。

 幸い、本名や組織名などと摘発事例を照合した結果、男が売春島の人身売買ブローカーであった裏取りはできている。そこには、もっと生々しいドラマがあったに違いない。そんな、前回は語られなかった事件の詳細も明らかにしたい。

 ふたたび僕は、Xを訪ねるため関西某所へと飛んだ。

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売春島~「最後の桃源郷」渡鹿野島ルポ~

高木 瑞穂

彩図社

2019年12月17日 発売

「ショート2万、朝まで4万。置屋ではママが…」“ヤバい島”の実態を元ヤクザが赤裸々証言

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