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「私、本当はボケキャラなんですよ」山口恵梨子女流二段が明かす将棋界“ここだけの話”

「私、本当はボケキャラなんですよ」山口恵梨子女流二段が明かす将棋界“ここだけの話”

棋士・女流棋士の素顔を描いた『山口恵梨子(えりりん)の女流棋士の日々』

2020/12/11
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「えりりん」といえば「山口恵梨子女流二段」――。「観る将アワード2019」ではベスト聞き手賞にも輝いた、将棋ファンにとってはおなじみの存在だ。

 多くの人がその愛称を知る彼女を通して、女流棋士の日常を描いた漫画『山口恵梨子(えりりん)の女流棋士の日々』(竹書房)が刊行された。作者は、数々の媒体で将棋に関する漫画を発表してきた「さくらはな。」さん。

 本稿では、お二人から聞いた同書の楽しいエピソードをご紹介していこう。

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さくらはな。さん(左)と“えりりん”こと山口恵梨子女流二段(右)

振り駒は8回振ると先手が出る?

――発売から数日経ちましたが、読んだ人からの感想などありましたか?

山口 私は「鳩やぐら」さんの「肉豆腐山椒弁当」の美味しさについて語っているのですが、ぜひ食べてみたいと言われました。

さくら 私には、この本の中で紹介している「山口先生の振り駒が見たい」という声がありましたね(笑)。

――山口先生の密かな研究によると、振り駒は8回振ると先手が出るという話ですよね。これは、本当なんですか?

山口 本当ですよ! 私、めっちゃやりましたもん。

『山口恵梨子(えりりん)の女流棋士の日々』より ©山口恵梨子・さくらはな。/竹書房

――ちなみに今、山口先生は、振り駒をされることはあるんですか?

山口 今でも、月に3回ほど記録のお仕事をしているので、そのときにしています。

――そのときは、この技は使ってない?

山口 8回振ると「歩」が出ると信じているので、絶対に8回だけはやらないようにしています。

さくら 何回にしてるんですか?

山口 最近は11回にして、思いっきり放り投げるようにしています。

「歩」を表にして手に握り、8回振れば出ますからね

――ここに駒があるので、実際に見せてもらってもいいですか?

山口 いいですよ。

さくら 山口先生は、振り駒がすごく早いんですよ。

山口 開始間際に来られる先生もいらっしゃるので、早く振ることも大事なんですよ。じゃあ、やりますよ。「歩」を表にして手に握り、8回振れば出ますからね。いち、にい、さん、し、ご、ろく、しち、はち!

(歩が3枚出る)

山口 ほら!

さくら おー!

 

――全部の駒が「歩」になるわけじゃないんですね。

山口 全部じゃないんですけど、「歩」が出やすいんですよ。

――いつ気がついたんですか?

山口 小学5年生のときですね。

――それは、誰がやってもそうなる?

山口 それはわからないですね……。やってみてください。

さくら では私が。

(同じように8回振ると「と」が3枚出る)

 

山口 あれ? 振り方が悪かったですか?

――ではもう1回。

さくら あ! 出ました!

山口 ほら!

さくら おー!

――(まあ……2回やれば1回は……。)