2020年も12月。早くも1年が終わろうとしている。
12月生まれの4歳の長女は、もうずっとこの月が来るのを楽しみにしてきた。幼稚園というコミュニティにおいて「先におにいさん(おねえさん)になる」というのは、大人が思うよりも重要らしい。仲の良いお友達がひと足先に5歳になっていく度に、「12月はまだ?」と口を尖らせていた。
当然12月にはクリスマスがあるのも理解していて、最近はもっぱら幼稚園児用の雑誌を見ては自分の欲しいおもちゃをリストアップしている。クリスマスツリーを出してからは、サンタさんがちゃんと自分のところへ来てくれるかを心配し、自分のことを自分でしようと頑張っている。ありがたきサンタさん効果。きっとお望みのプレゼントを届けてくれることだろう。
聞き手の仕事について「感想戦」をすることは滅多にない
さて、11月には「第41回将棋日本シリーズJTプロ公式戦(以下JT杯)」の決勝戦が行われた。
JT杯は12名のトップ棋士によって行われるトーナメント戦で、例年全国各地で公開対局として行われている。今年は新型コロナウィルスの感染拡大防止の為、全局がABEMAスタジオからの中継に切り替えられた。
対局者は豊島将之竜王と永瀬拓矢王座。第5期叡王戦七番勝負では持将棋、千日手を含む「十番勝負」のまさに死闘を繰り広げたことが記憶に新しい。解説者はJT杯6回優勝の最多記録を持つ、谷川浩司九段。光栄なことにその聞き手を私が務めさせていただいた。
決勝戦の模様に関してはABEMAのダイジェスト配信をご覧いただくとして、今回はこの決勝戦を例として、聞き手の仕事について書いていきたい。
女流棋士同士で将棋の話はしても、「この間の聞き手の仕方がさ……」と聞き手の仕事について「感想戦」をすることは滅多にない。なので、これはあくまで私の考えであることを前提として、将棋番組においての聞き手の仕事は、
・番組の進行、雰囲気作り
・解説者のトークの引き出し
・解説者と視聴者の橋渡し
の3つが重要になる。
JT杯では公開対局の際、間の取り方や照明などを見ても、プロの対局の緊張感を特に大切にしている印象が強い。そして今回は決勝戦で、その緊張感はこれ以上ないほど張りつめている。その上、谷川九段の立ち居振る舞いや上品な物腰は、決勝戦の緊張感をさらに高めていく。