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特集観る将棋、読む将棋

女流棋界に順位戦創設 私たちも苦しみながら「白玲」を作っていく

「自分が順位戦を戦ったら、夫に少し優しくなれるかもしれない」

2020/11/06

 2020年も10月が終わった。我が家では毎年、娘たちがその時に好きなものの中からハロウィンの衣装を作って、着てもらっている。今年は絵本の「ぐりとぐら」にした。衣装を自分で作るのは完全に趣味で、自己満足の世界だが、娘たちが喜んで着てくれるのが嬉しくて可愛くてやめられない。来年は何にしようか。長女はいつまで付き合ってくれるのだろう。その時々の季節を、娘たちと共に楽しんでいきたい。

「ぐりとぐら」の仮装をした娘たち ©上田初美

すべての女流棋士が順位付けされる

 10月は女流棋界にとって非常に大きなニュースがあった。

 新棋戦「ヒューリック杯白玲戦」の創設、そしてその形式は棋士でいう「順位戦」形式だと発表された。

 順位戦とはごく簡単に言うと、すべての女流棋士が順位付けされる形式のことだ。白玲戦では第1期でA~Dのリーグ及び順位を確定し、第2期以降はそれぞれのリーグで戦っていく。

 女流棋戦はトーナメント形式が多く、すべて1回戦で負けてしまうと年間10局に届かないという、対局数の少なさが長年懸念されていた。それが2019年度には清麗戦(現・大成建設杯清麗戦)が創設され、今回の白玲戦と合わせると1人当たり10局程の対局数の増加が確定する。

出すだけで真剣度が増す、我が家の6寸盤 ©上田初美

 女流トップグループは、この増加によって棋士と遜色ない対局数になる。将棋は見た目以上に体力を使うので、体力の強化は必須項目だ。棋力・体力、両面で今まで以上に鍛えられていくのだろう。私自身も夫の対局数と合わせると年間70~80局程が予想される。2019年度の棋士の対局数ランキング1位が67局なので、育児を含めるとスケジューリングや、やはり体力面が課題となりそうだ。

将棋界の大先輩は「順位戦はつらいぞぉー!」

 真剣勝負の機会が増えることは、イコールとして全体のレベルアップに繋がる。上記の2棋戦、そして今まで支えてくださっている既存の棋戦のスポンサー、応援していただいているファンの皆様に、改めてお礼を申し上げたい。

 白玲戦の創設は棋士にも衝撃を与えていた。発表後しばらくは会う人会う人、この話題になった。1500万円という女流棋戦最高の優勝賞金も目を引くが、特に順位戦形式というのが驚きのポイントらしい。久しぶりにお会いした将棋界の大先輩、先崎学九段は「女流棋士も順位戦を戦うのか」と感慨深そうに話してくれた。そこに続く言葉は「順位戦はつらいぞぉー!」だった。

 順位戦は1年かけて、1人1人が明確に順位付けされる。長く戦いの場に身を置いている棋士であっても、この「順位付け」というのは辛いものらしい。