昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

特集観る将棋、読む将棋

ついに藤井聡太二冠よりも「若い棋士」が誕生 「少しでも追いつきたいです」

プロデビューした新四段3名、伊藤匠、冨田誠也、古賀悠聖に聞く

2020/10/10

 9月26日に第67回奨励会三段リーグの最終18・19回戦が行われ、すでに四段昇段を決めていた伊藤匠三段(最終成績は15勝3敗)に続き、冨田誠也三段が14勝4敗の成績を上げ四段昇段を果たした。また13勝5敗で次点を獲得した古賀悠聖三段は、これが2度目の次点となるため、フリークラス編入の権利を獲得。即日、権利の行使を表明してプロ入りを内定させた。

 伊藤、冨田、古賀の3名は10月1日付で四段に昇段し、プロ棋士としてデビュー。

現役最年少となる伊藤匠新四段 ©相崎修司

「受け将棋の特徴を出したい」

 伊藤新四段は17歳でのプロ入り。藤井聡太二冠と同学年だが、誕生日の関係で、伊藤が藤井に代わり現役最年少のプロ棋士となる。「藤井二冠はすでに第一線で活躍しているので、少しでも追いつきたいです。四段昇段が決まってホッとしているのと同時に、これからは自分の将棋がよりファンの方に見られるようになるので、もっと実力をつけなければという思いもあります」と語る。

 得意戦法は相掛かり。

「佐々木勇気七段に教わる機会が多く、その攻めを受けていたら受けの棋風になったのかなと思います。受け将棋の特徴を出したいですね」

 5期の三段リーグを振り返って、こう語っていた。

「三段になってトップクラスの先生に教わる機会も多くなり、早くプロにという思いがありました。今期の15勝は実力からすると出来すぎと言いますか、いくつか負けの将棋を拾ったケースもあったので、運がよかったですね。リーグ開始が延期になりましたが、準備に時間を費やせたことはかえってよかったのかもしれません」

藤井二冠が史上最年少で一般棋戦優勝を果たした朝日杯将棋オープン(2018年2月)では、準決勝・決勝で伊藤三段(写真左)が記録係を務めた ©文藝春秋

兄弟子の本田五段は「同門対決は楽しみが100%」

 本田奎五段(伊藤四段ともども宮田利男八段門下)は、弟弟子について語ってくれた。

「初手合いが二枚落ちだったのはおぼろげながら覚えています。私が奨励会に入る直前で(本田は2009年9月に小学6年生で奨励会入会)、対してアマ初段くらいだったのかな。最初は一門研で、チェスクロックを使って指すようになったのはこちらが中学3年になったころだったかと。1対1のVSは奨励会三段と二段の頃に始めましたね。成長度がすごく、今期の15勝3敗は順当だと思います」

 今後、同門対決の可能性もあるが、「こちらが三段の時に追いつかれていたのならまた違うのかもしれませんが、ライバルという感覚は余りないですね。ただ公式戦で指してみたい気持ちはあります。明日斗(斎藤明日斗四段。本田、伊藤の兄弟弟子)との対戦が決まった時もそうでしたが、楽しみが100%です」。

 伊藤新四段の誕生が内定した数日後に「先日たっくんの昇段会をしてきました。焼肉美味しかったです」とツィッターでつぶやいた本田五段。筆者の取材時にも幾度となく「たっくん」と弟弟子を語る声は限りなく優しかった。

東竜門~関東若手棋士~のTwitterより