師匠からは「自分の好きなようにしたらいい」
だが半年経つと環境にも慣れ、大阪の棋士に色々と教わる機会が増えたのも大きかった。自粛期間中には勉強法に悩んだ(直接会っての対局はやりにくい)というが「オンラインで棋士の先生とVSですね。あとは詰将棋が好きなのでよく解いていました」と語る。最近取り組んだ作品集に「現代詰将棋 中編名作選II」を上げた。
次点2回でのフリークラス編入について「権利は行使するつもりでしたが、終わった後、師匠に確認しました」という。
古賀四段の師匠は中田功八段、同門の兄弟子には佐藤天彦九段がいる。佐藤九段にはかつて、次点2回の権利を得た時にそれを放棄して三段リーグに残り、のちに四段昇段を果たしたエピソードがある。
「師匠からは『自分の好きなようにしたらいい』と言われました」
佐藤三段の時代と比較すると現在は若手棋士が参加できる棋戦も増えているので、比較的容易にフリークラス脱出が可能になっていることも、後押しになったのかもしれない。「佐藤九段のように安定して勝てていたら残留を考えたかもしれませんが、僕はそういうタイプではないので」とも語った。
得意戦法は居飛車。
「受け将棋で、丁寧な将棋を心掛けています。森内俊之九段の手厚い将棋が理想ですね。将来はタイトルを獲れるような棋士になりたいです」
「流行よりは前例の少ない将棋を指す」
古賀四段は大阪に移ってからよく教わった棋士として大橋貴洸六段の名前を挙げた。この1年ほどVSを続けているという。
「それまでに何か関係があったわけではないのですが、直感的というか。研究会を増やしたいと思っていた時期で、古賀さんが大阪に出てきたこともあり、タイミングがよかったです」と大橋六段は語る。
「三段と指すことで、何かを得られるかなと思っていました。彼の将棋に向かう姿勢からしても、いずれはプロになるだろうと思っていましたね。流行よりは前例の少ない将棋を指す力将棋で、自らのスタイルを持っています。切磋琢磨してきた古賀さんが棋士になったのはうれしいことで、これからも将棋界を共に盛り上げていきたいです」
最後に、今期リーグから新たに奨励会幹事を務めている佐藤和俊七段の言葉を紹介したい。
「自分が上がった当時を思い出しましたね。3名ともいい表情でした」
新四段の今後に幸あれ。