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ついに藤井聡太二冠よりも「若い棋士」が誕生 「少しでも追いつきたいです」

プロデビューした新四段3名、伊藤匠、冨田誠也、古賀悠聖に聞く

2020/10/10

 この年の小学生名人戦はベスト4から3名がプロ棋士になっている。古森五段の他は、近藤誠也七段と佐々木大地五段だ。他の参加選手には増田康宏六段、本田奎五段、黒田尭之四段、山本博志四段の名前がある。

「負けた冨田は『もう将棋をやめる』と泣いたんですよ。ところがその年の奨励会試験では冨田が合格して、古森の入会は1年後でした。もうずっと追いつき追い越せの関係ですね。加古川青流戦で優勝した池永、順位戦で昇級した古森と比べても素質は遜色ないので、頭角を現してくれるのではないかと楽しみにしています」(小林九段)

なんと1日4連勝で四段昇段という珍事

 師弟が涙を流した翌日、小林、池永、古森、冨田で祝杯を上げた。冨田が「(三段リーグ卒業に)7年かかりました」というと、池永が「僕は8年」。古森は「1年でした」というやりとりがあったそうだ。

2019年8月13日の竜王挑決第1局で記録係を務める冨田三段 ©相崎修司

 それを聞いた師匠「俺はもっと早いぞ、4ヶ月だ」と。当時は三段リーグがない時代で、8連勝もしくは12勝4敗で四段昇段が可能だったからだが、師匠いわく「インチキ臭い昇段なんですよ(笑)」。

 当時4連勝で1975年12月の例会に臨んだ小林三段はなんと1日4連勝し、合わせて8連勝で四段昇段を決めたという。奨励会例会における1日の対局数は級位者が3局、有段者が2局というのは長年にわたる不文律だったはずだが……。

「その前の例会は、鉄道のストがあって指せなかったんですよね。『では1日4局指していい』と言われまして。その結果です」

 前日に偶然、4時44分という電光掲示板をみて、絶対に4連勝して四段になれると思ったという、小林当時三段の逸話である。

1年前のリーグで次点を獲得

 2つ目の次点を獲得した古賀新四段は、フリークラスでのプロ入りとなった。

「前回(16、17回戦)の連敗で今期はきついかと思いましたが立て直せて、今日2連勝できたのはよかったです。連敗したにもかかわらず次点2回での昇段に自力があったのは運がよかった。何とか次点を取っての昇段を、と考えていました」

取材を受ける古賀悠聖新四段 ©相崎修司

 古賀四段が三段リーグに初参加したのは第62回リーグ(2017年10月~)。しばらくは苦戦していたが、第65回リーグでは13勝5敗の好成績を上げ、1つ目の次点獲得。前期の第66回でも有力な昇段候補と見られていたが、なんと6勝12敗の大ブレーキ。

「福岡から大阪に引っ越してきて、すぐにリーグが始まったので、新しい環境になじめなかったのもあったかもしれません」