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特集観る将棋、読む将棋

私たち夫婦は将棋を選んだ。娘たちは何を選んで生きていくのだろう

4歳の長女と毎日1局ずつ将棋を指すことにした結果……

2020/10/02

 新型コロナウイルスの影響で昨年度3月初めから修了式まで、4歳の長女が通う幼稚園が休園することになった。我が家はもともと親のどちらか1人は必ず家にいるようにしているので、生活スタイルが大きく変わらなかったのは幸いだった。

毎日1局ずつ将棋を指すことにした

 とはいえ通常ならば幼稚園でたっぷり遊んだ後に2、3時間公園で遊ぶ長女。当然、時間と力を持て余してしまう。親子でどう時間を使っていくかを考えた結果、将棋指し夫婦らしく、長女と毎日1局ずつ将棋を指すことにした。

扇子を持って駒音を鳴らす次女 ©️上田初美

 毎日指すことに決めた時点での長女は、

・駒の名前・初期配置がわかる

・将棋は2人で行われ、1手ずつの交代で指していく

 という、ごく簡単なルールを理解している、れっきとした入門者だ。

 将棋は駒が8種類あるが、それぞれ動き方が違うので、それを覚えるのが最初の壁になる。幼児にとって将棋の駒に書いてある漢字は「〇」や「△」と変わりない記号でしかない。

 (1)記号を見て、(2)頭の中で動き方を思い出し、(3)実際に動かすという工程はなかなかに難しい。しかし、それに関しては「スタディ将棋(KUMON)」が解決してくれた。スタディ将棋には駒1つ1つに動きが記載されているので、(1)と(2)を1工程で行える。駒の動きを覚えなくてもすぐ実戦に突入できる。ありがたき文明の利器である。

手つきがキレイと自画自賛する長女 ©️上田初美

教える側は絶対に勝ってはいけない

 入門者に将棋を教えるにあたって一番大切なことは、「将棋が楽しい!」と思えるまで教える側は絶対に勝たないことだ。ある程度強くなると将棋の楽しさはたくさんあるが、最初は勝つことが楽しいというのがほとんどだろう。

「負けを(かなりローリスクで)経験出来る」というのは将棋を通して学べる良い所の1つ。誰でも負けることはあるし、それは恥ずかしいことではない。負けたら次勝てるようにまた頑張ればいい。しかし、それ以上の楽しさを知ってからでなくては、負けの悔しさを乗り越えることができないのだ。なお私個人で書いているnoteでは経過と共に将棋の教え方にも触れているので、ご興味があればそちらもご覧いただければと思う。

 将棋界では入門者に家庭内で将棋を教える場合、教える側の棋力はアマチュア初段位がベストだとよく言われている。いわゆる段持ちになれば、ひと通りの技術を教えることが出来る。そして何より入門者の気持ちに自然と寄り添えることが多いのだと思う。