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「特攻服をお揃いで着るのもコスプレ感覚で楽しかった」 15歳で暴走族総長になった女性が、30年後に“ 女子少年院を全国制覇”したワケ

「特攻服をお揃いで着るのもコスプレ感覚で楽しかった」 15歳で暴走族総長になった女性が、30年後に“ 女子少年院を全国制覇”したワケ

中村すえこさんインタビュー #1

2021/03/29
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覚せい剤使用で2度目の逮捕

――無明の苦しみが続いたんですね。

中村 そのうち、私が悪いんだって自分を追い込むようになって、そのときに暴走族をやる前から仲がよかった不良仲間に勧められたのが、覚せい剤。

 今みたいにクスリに軽い気持ちで手を出すというような時代ではなくて、覚せい剤をやっていたら“もうアイツ、終わりだよね”みたいな扱い。けどそのときは、自分の未来なんてどうでもいいと思っていたし、自分にぴったりなクスリだと思って、迷いなく打ちました。

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 少年院を出て3ヶ月後くらいから覚せい剤を始めて、そこから3ヶ月間使用したあたりで捕まり、2度目の逮捕となりました。

(※写真はイメージ) ©️iStock.com

 ただ、そのときに私を信じてくれる大人と出会ったり、母親に命の大切さを諭されたりして、変わりたいと思えたんです。ここで変われなかったら、自分はもう一生変われる機会はないんじゃないか、人としての心をなくしてしまうんじゃないかと思って。そうして立ち直ることができたのが18歳のときでした。

更生後『セカンドチャンス!』発足 

――更生してからは、どういった生活を送ってこられましたか。

中村 そこからは結婚したり、離婚もしたり、子供を産んでまた結婚したりしながら普通に暮らしていました。当時は少年院に入っていた過去を隠していたんですが、ママ友とかに最終学歴を聞かれたとき「中卒」って答えるのがコンプレックスだったり、「いいお母さんだね」って言われるたびに、この人は私の過去を知らないんだよな、って後ろめたい気持ちになったりしていました。

(※写真はイメージ) ©️iStock.com

 そんな思いを抱えるなか、33歳のときにNPO法人『セカンドチャンス!』の立ち上げに誘われました。『セカンドチャンス!』は少年院出院者同士が経験や将来の希望をわかちあって、仲間として共に成長していくことを目的とした団体です。その設立者である人から「どんな研究者より君たちの経験が役に立つ」と言ってもらえて、気持ちがちょっと楽になったんですよね。そこから活動をやってみたいと考えるようになって、設立メンバーに名乗りをあげました。