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「もう一回こないかな~」パチンコ関係者にとって“待望”だった休業要請…とある店長がもらした“本音”とは

『パチンコ崩壊論』より #1

note

「パチンコを盛り上げよう!」という哀しき願い

大崎 でもさ、「イイお客さま」が増えれば、この地獄から脱することができるわけだから、パチンコを盛り上げよう!って願いは、業界関係者誰もに共通してるんだよ。それが具体的な方法論となると、途端に止まってしまう。いや、いろいろと考えてるんだけど、あちら立てればこちらが立たずというか……。

ヤング だよなぁ。例えばオレたちで言うと夢戦(*5)なんかは、玉を出して勝ってもらえたら、最終的にお客さんは増えるはずだって考えでやってたけど、プロを食わすだけ、あるいは目立って逆に締め付けが厳しくなるだけだから、絶対反対って人も少なくない。

*5 大崎一万発とヒロシ・ヤングが始めたパチンコイベント。出玉系イベントのハシリといえるでしょう。2人のネームバリューでお客を集め、お店は出玉(赤字)で還元する。それゆえ開催する店舗は限られていた

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大崎 デコレーション筐体(*6)問題もそうだよね。そんなところにお金をかけるぐらいなら、遊技機価格を下げて店の負担を軽減すべきだとか。まあ、あれは業界外、新規客に向けてのアピールだとオレは好意的にとらえてるけどね。間違いなく話題性は提供してくれるわけだからさ。

*6 液晶が大きくなり、役物(ギミック)が多数追加され、ウーハーもつけば、風も出る。とにかく装飾のインフレ化が止まらないパチンコ台は盤面に入れられるモノがなくなり、筐体外部へと広がっていった。そんな巨大化しつつある筐体のこと

データ表示器が見えなくなるほど巨大なデコレーションを施したパチンコ台も…… 筆者提供

ヤング でも既存ユーザーや店の反発は大きいよなぁ。そもそも、新規参入を促すのが先か、リピート率を上げたり、休眠ユーザーを掘り起こす方向性がいいのか、それすらはっきりした指針がないんだもん。それをどっちにするかで正反対の施策になったりするわけじゃん。

大崎 もちろん、規制緩和が一番の特効薬ではあるんだけど、パチスロのスペック緩和とバーターの期待が大きかった旧規則機の撤去(*7)にしても、逆なでするようなパチンコ屋があるわけだからね。

*7 概要は5号機撤去の脚注と同様だが、付け加えるなら凱旋や沖ドキといった人気稼働機種に関して業界内では「みんなで期限を守って撤去しましょう」という流れだったのだが、守らないところも出てきてすったもんだがありました……といういつもの流れ

嬉々として規制台を楽しむ客

ヤング そして、嬉々としてそういう店で凱旋や沖ドキを打つ客……。いや、打つ側に何ら非はないんだけど、そういう客を非難するような風潮が客の間に生まれているのが何とも興味深いというか。

大崎 業界事情を理解して、「未来」を考えて遊ぶ客と、打ちたいから打つだけ、先のことなんて知らんがなの客。民度の二極化も進んでいる。

ヤング ハンドル固定(*8)やドツキ(*9)に対しても、ルールやマナーを守れよ!って厳しい客は多くなったよね。えー?パチンコ打ってんのにちゃんとしすぎやろって信じられん思いはある(笑)。

*8 パチンコは打ち手の技術介入があるから遊技→ハンドル固定したら一定に飛ぶから技術介入性がなくなる→法律違反です。というロジックらしいが、だったら法律に明記されているパチスロの設定を「設定○入れてますよ!」と謳って何が悪いのか、と思いつつ、今日も空を見上げています

*9 役物系の機種で台をタイミングよくドツくことで入賞率をアップさせる裏技というか怒られる行為。誰でもドツけば入賞できるわけではなく、かなりの熟練度が必要とされるため、見よう見まねでするとかえって損をする可能性大。これもある意味遊技じゃね? 冗談なのでよい子はまねしないように!