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若手を動かすには「論より証拠」――柏レイソル・下平隆宏監督インタビュー#2

2017/10/21
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 若い選手たちを束ね、引っ張っていくために大切なこと。

 柏レイソルはJリーグのなかで出場選手の平均年齢が最も低いチームだと言っていい。日本代表GK中村航輔の22歳を筆頭にDF中谷進之介21歳、中山雄太20歳、小池龍太22歳、MF手塚康平(ケガで離脱中)21歳、FW伊東純也24歳……と、25歳以下の選手が主力の約半数を占めている。

 若い芽を伸ばしつつ、結果も残す。若手のみならずキャプテンのMF大谷秀和を中心に、FWクリスティアーノら外国人選手ともうまく融合させたチームはACL出場圏内の3位をキープしている。感情の起伏を見せない“静かな指揮官”下平隆宏監督のチーム操縦法とは――。

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#1より続く

©文藝春秋

◆ ◆ ◆

――失礼ながら、あまりガミガミタイプのリーダーには見えません。

「たまにハーフタイムとかに怒るときもありますが、あんまり怒らないかなとは思います。普段、怒鳴ったりとかもないですよ」

――とはいえハイプレスやポジショニングの徹底、ビルドアップのこだわりなど細部を徹底させるには、練習から細かく指示しているとは思うのですが。

「確かに言わなくなると、どうしても緩んでくる。守備のときに『行かなくてもどうせ奪える』という意識が見え始めると、何度も指摘しますよ。『取るべきポジションを取ってないよ』と、どちらかというとちょっと冷たく言い放ちますね」

――試合を見ていても、じっと戦況を眺めているような印象です。表情からはどういった感情かはなかなか読み取れません。

「意識してそうしてはいます。会社でも日によって上司の機嫌が違うってなると、部下の人って絶対働きにくいじゃないですか。上司がずっと同じ感情なら、部下の人も気にならないし、働きやすい。伸び伸びやってもらいたいという意味もあります」

――現役時代は激しいプレーが特徴でしたが、監督になってちょっとおとなしくなった印象もあります。

「プレイヤーのときは相手をガンガン削りにいってましたからね(笑)」