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この情報化の時代に、民主主義が対応できてないのはもったいなくないか

総選挙「コンセンサスのミス」について考えてみる

2017/10/26
note

喫緊の課題にどれだけ時間がかかっているのかよく考えるべきです

 本来の意味で、技術革新の恩恵を蒙るのは意志決定をするにあたって豊富なデータを見ながら柔軟に対応ができるようになる組織の長であるはずです。だからこそ、無駄な仕事から徐々に人々は解放され、ピラミッドのような組織はフラットになってきました。ところが、民間では当たり前にできていることが、なぜかお役所では優秀なはずの人たちが組体操状態の大ピラミッドを作らされ、膨大な書類と大量の会議と必ずしも専門ではない担当大臣との間で非効率で不合理な仕事をさせられ続けている、というのが現状じゃないかと思います。

 一つの法律で1億人が動く日本は他の国よりも早く意志決定をし、技術を社会に活かし、高齢社会で停滞する状況から脱するためにも合理的に政治を進めていかなければならないのに、いま起きていることはホームページもTwitterもFacebookもまともに扱えないような議員さんが秘書任せで情報発信をし、メディアとのドンパチをしながらゆっくりのんびり船が進んでいくという姿です。速ければいいというものではないにせよ、喫緊の課題はどれで、速やかに政策的な手当をするにはどのような方法があるのかといった意志がはっきり見せられる分野から、与野党の理解を得つつ徐々にスピードアップできる試験をするべきなんじゃないかとすら思います。待機児童が問題視されて何年かかっているのか、それは東京など大都市圏だけの問題であるならばそれに向けた対応も可能じゃないかと思いますし、社会保障改革にせよ海上保安庁の設備増強にせよどれだけ時間がかかっているのかよく考えるべきです。

 そういう暮らしが政治に強く関わる部分から率先して情報化を進めたり、政策決定で機動的なコンセンサスのとり方ができるようになれば、日本の政治はやるべきことがもっともっと解決できるようになるでしょうし、国民の政治への意識も変わります。大きい国家か小さい国家かも大事でしょうが、その国家がより良い意志決定をし、速い対応が可能になるような改革ができたほうが、国民にとってはいいんじゃないかと思うんですけれども。

安倍晋三さん ©志水隆/文藝春秋
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