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「ラ・ムーはデザインやビジュアルも含めた総合エンターテイメント」 菊池桃子の“埋もれた名曲”が海外で再評価されたワケ

「ラ・ムーはデザインやビジュアルも含めた総合エンターテイメント」 菊池桃子の“埋もれた名曲”が海外で再評価されたワケ

2021/09/17
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主演映画のポスターを部屋に貼っているくらい大好きな存在

「菊池桃子さんを知ったのは2012年から2013年くらいのことです。もともと僕は昭和のアイドル、80年代のダンス曲に惹かれていて。その中でも菊池桃子さんはビジュアル的に好みだったというところから掘り始めました。“ビジュアル”と言っても単に顔だけじゃなく、パッケージのデザインや作品のイメージを通して一貫したブランディングがあって、その完成度がとても高かったと思うんです。レコードとカセットテープも8cmシングルも全部集めましたし、写真集やVHSも集めています。自分の部屋にも菊池桃子さんの主演映画『アイドルを探せ』のポスターを貼っているくらい、とても大好きな存在です」

 音楽性についてはどうだろうか?

「菊池桃子さんの楽曲は林哲司さんの色が強いですよね。声の使い方も研究して、自分の作品みたいに菊池桃子さんの曲を作っていたんだと思います」

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独特のウィスパーボイスを活かした楽曲を制作

 林哲司とは、松原みき「真夜中のドア~stay with me」や竹内まりや「September」など数々の楽曲を手掛け、シティポップのオリジネーターとして世界的な評価を高めている作曲家・編曲家。菊池桃子のデビュー曲から1987年の「ガラスの草原」までの全シングル、アルバム収録曲に携わり、独特のウィスパーボイスを活かした楽曲を制作してきた。

ラ・ムーのファーストシングル「愛は心の仕事です」

 Night Tempoがリエディットの対象として選曲したのは「Alfa Flight」「ガラスの草原」「Good Friend」「Night Cruising」の4曲。やはり『ADVENTURE』収録の「Good Friend」「Night Cruising」など、当時のヒットシングルというよりも、むしろ“埋もれた名曲”を発掘している。

「僕としては、当時の最先端のサウンドだったんじゃないかなって思います。歌詞もすごく未来的で、不思議な音楽で。すごくトリップ感がある。『Mystical Composer』も、歌詞は何を言ってるかまったくわからないんです。でも、そういうわけのわからない、不思議なものが格好いいんですよね。それが今、再評価されて、海外でオシャレなものとして受け入れられているんだと思います」