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「脱走のニュースはヒヤッとしました」東京に出勤しながらエミューと暮らす…会社員女性が語る“二重生活”

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 エミューの卵が孵る確率は低いらしくて、最初は卵が生きているか死んでいるかもわからなかったんですけど、孵卵器に入れてから30日から40日すると、卵がだんだんと動くようになるんです。

 口笛を吹くとガタガタッと揺れたりするので、「生きてるかな」と思ってピーッと鳴らしたりしてました。

とにかく添い寝が大変だった

——生まれてから大変だったことは?

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砂漠 添い寝ですかね。雛の時は体温調節ができないので、エアコンを入れた部屋に水槽を置いて、その中にエミューちゃんを入れていたんですけど、夜中に何度も目覚めてしまって、水槽の壁を全力で突き続けたりしてしまう。

 

 雛の頃は、気にくわないことがあると、体力の限界まで暴れ続けていたんですよ。当時はそのせいで全然寝れなくて、つらかったです。

——別々に寝ることはできないものなのでしょうか。

砂漠 普通の人工保育では人が付き添い続けることはないんですけど、エミューちゃんは添い寝しないと怒りましたね……「刷り込み」があったからかもしれません。

——砂漠さんのことを、まるで親鳥かのように思っている。

砂漠 そう思っているみたいです。親鳥の行動を真似する習性もあるみたいで、そのせいか人が手で触っているものをつつきたがるんです。

 人間が触ったお皿なども触って落としてしまうので、大きくなっていろいろなものに背が届くようになった今は、人間の食事のときは部屋に入れないようにしています。

——他にもつつきたがるものは、ありますか。

砂漠 ポツポツしたものも、ついばんでみる癖がありますね。

記者のスマホケースもつつかれた 

 エミューちゃんが小さい頃は、私自身も体や眼球をつつかれていましたが、傷が治りかけると、ポツポツしていて気になるのか、今度はかさぶたを剥がしたがるんですよね。そのせいで傷がなかなか治らない。

——それは、しつけなどで直るものなのですか。

砂漠 どうなんでしょう、他のエミュー飼いの方を見ても、エミューをしつけようと試みている人を見たことがないから……エミューちゃんは自分の名前も覚えないし、そういう賢げなことは苦手だと思います。大きくなって、つつくときの力加減は覚えました。