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「俺は何も悪いことはしてへん」“GoTo詐欺”で逮捕された山本セキ元監督(53)に羽交い絞めにされた夜《大阪偕星学園高校野球部》

「俺は何も悪いことはしてへん」“GoTo詐欺”で逮捕された山本セキ元監督(53)に羽交い絞めにされた夜《大阪偕星学園高校野球部》

2022/01/16
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実は2010年にも逮捕された過去が

 水落のセクハラ事件を取材するなかで、大阪偕星学園高校野球部の複数の関係者や保護者から、山本がかかわっていたとみられる「Go Toトラベル詐欺」の内幕を聞かされていた。

 実は山本には、2010年まで監督を務めていた倉敷高校時代に、野球部の移動に使う大型バスを修理に出した際の代車費用に関する保険金詐欺で逮捕された過去がある。その時は勾留期限いっぱいの20日間にわたって無実を主張し、起訴猶予となった。

 2015年にその話を聞いた時、山本はこう答えていた。

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「身に覚えのない事件でした。私の弁護士も『なぜ逮捕されるのか理解に苦しむ』と話すぐらいでした。(甲子園出場を決めた)子どもたちが私の無実と、私の教えが間違っていなかったことを証明してくれました」

 この時も、野球指導の成績と罪の有無を結びつける思考に危うさを感じた。

石川県の根上球場にある「栄冠は君に輝く」の石碑の前で

 当時の話しぶりから私は不起訴になった事件だと認識していたが、最近になって「起訴猶予」だったことを知った。ゆえに、警察として同じ轍は踏めない――と、大阪府警は慎重に今回の詐欺事件の捜査を進め、協力者にも他言しないように強く念を押していた。

 昨年9月に岡山で会って以来、私から山本に連絡することはなくなった。だが、水落の事件に関する私の記事が公開されるや、山本は驚くほどの速さで連絡をしてきた。「練習中も常に携帯電話を眺めていた」(野球部の現役部員)という山本は、エゴサーチして自身の関連するニュースを頻繁にチェックしていたのだろう。電話ではいつも、自分に都合の悪い部分の修正を依頼してきたが、私が受け付けることはなかった。

 プロレスラーのような体格のわりに、山本にはかように小心者の一面もあった。そんな彼は、自身が逮捕される可能性を考えることはなかったのだろうか。大阪偕星学園野球部の内情に詳しい人物が話す。

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