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2017 国内海外 推理小説十傑――ミステリーベスト10 国内編

文春図書館拡大版 全国のミステリー通、書店員が選ぶ!

 年末恒例の大アンケート企画。41回目の今年、国内では度肝を抜く「本格推理」の新人が、海外では「華文ミステリー」の新星が栄冠に輝いた。ベテランも大活躍の強力ランキング!

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投票の対象は発行日が2016年11月1日から2017年10月31日までの本です。1位は5点、以下、4点、3点、2点、1点として集計しました。国内部門の投票数は183でした。

アンケートにご回答頂いたのは全国の日本推理作家協会会員及びミステリー作家、文芸評論家、書店員、翻訳家、各大学ミステリー研究会他の皆様です。

〈国内部門〉

1.『屍人荘の殺人』(今村昌弘 著)東京創元社   199 

2.『盤上の向日葵』(柚月裕子 著)中央公論新社   95

3.『ホワイトラビット』(伊坂幸太郎 著)新潮社   92

4.『狩人の悪夢』(有栖川有栖 著)KADOKAWA   75

4.『機龍警察 狼眼殺手』(月村了衛 著)早川書房  75

6.『教場0 刑事指導官・風間公親』(長岡弘樹 著)小学館   51

7.『AX アックス』(伊坂幸太郎 著)KADOKAWA  48 

8.『いまさら翼といわれても』(米澤穂信 著)KADOKAWA   44

9.『この世の春 上下』(宮部みゆき 著)新潮社   43

10.『かがみの孤城』(辻村深月 著)ポプラ社   42

10.『ミステリークロック』(貴志祐介 著)KADOKAWA   42

1.『屍人荘の殺人』 

『屍人荘の殺人』(今村昌弘 著)

「本格推理」×「○○○」、動く密室。
王道かつユニーク、随所に創意が光る傑作

 葉村譲は、関西では名の知れた私大である神紅(しんこう)大学の1回生。所属しているミステリ愛好会は、「神紅のホームズ」こと明智恭介と2人だけの学校非公認団体である。夏休み、明智は映画研究部の合宿に混ぜてもらおうとしたが断られた。だが、文学部2回生の剣崎比留子の話によれば、合宿まであと2週間というタイミングで映画研究部の面々に脅迫状が届き、不参加者が相次いでいるらしい。剣崎からの取引に応じ、葉村と明智は彼女とともに合宿への同行が決まる。2泊3日の合宿は、紫湛荘という湖畔のペンションを拠点として始まった。屋外でのバーベキューが終わった頃、一同はネットが通じないことと、葉村の時計がなくなっていることに気づく。そしてその直後、とんでもない事態が一同を襲う。パニック状態になった一同は紫湛荘に立てこもるが、今度は殺人事件が……。

 屋外には想像を絶する非常事態、屋内には殺人鬼……最悪のクローズドサークル状態から生き残るには推理するしかないのか? 第27回鮎川哲也賞を受賞した異色本格ミステリー。

▼ここが魅力!

カット=久世番子

浅ノ宮遼「異色のクローズドサークルものだが、特異なシチュエーションを殺害トリックにきっちり組み込んでいる点が素晴らしい。邪道かつ王道、本格ミステリの傑作です」

黒崎緑「雪や嵐の山荘に代わる斬新なアイデアが面白いが、何より『その状況』を巧みに犯行に取り込んだ、犯人の知恵とトリックに感服する。本格ファンは必読でしょう」

高津祐典(朝日新聞)「ノンビリ日常の謎を楽しんでいたら、叫び声が物語を一変させる。そこに連れて行きますか、という驚きを支えるのが、先行作への尋常ならざる理解と愛情。この新人、ただ者ではない」

小出和代(紀伊國屋書店新宿本店)「感想や書評でネタバレを踏む前に読むべし。とんでもない理由の密室殺人が、理論的に解かれる本格推理小説。デビュー作でこんなにハードル上げてどーすんの!?」