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“全打順ホームラン”を記録…小川博文さんに学ぶ“打順と役割”

文春野球コラム ペナントレース2022

2022/05/18
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2ストライクからの代打も…言われたところで対応するのがプロ

 一度、グリーンスタジアムで相手先発が伊良部投手の時、こんなこともありました。

 彼とは相性が良かったので頭からいったんでけど、他の打者も打って3回でKO。相手エースを打ってベンチも盛り上がっていたところ、伊良部投手が交代したら僕も一緒に下げられた(笑)。まさに今日使ったのは伊良部用ということ。

 はっきりしていましたし、そこでナニクソとさせて働かせるもまた仰木さんのやり方だったんでしょう。その通り、僕はクソっとなって働いたはずです(笑)。

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 話していると色々思い出します。ある時、先発を外れて代打に備えてベンチ裏でバットを振っていたら「小川いくぞ」って声がかかった。

 モニターで試合状況を見るとバッターが追い込まれていたから、よし、次か、と準備をしていると「はよせえ、今や!」って。まさかの2ストライクからの代打。アウトになっても記録は前の打者につくとはいえ、バタバタで打席に入った結果はライト線へのヒット。自分でもよく打ったと思いますが、日替わり打線の話もそうですが、なんでここで俺や、とか、なんで昨日4番で今日は9番や、とか考えないこと。いけ、と言われたところで仕事をするのがプロ。準備と対応力ですね。

 この話を思い出した時、2ストライクからの代打は中嶋監督でもやらないだろう、と思っていたらこの間、13日の試合でバレラが2ストライクから代打佐野を送られた、とニュースになっていました。ただ、あれはバレラがスイングで手を痛めての交代。何もないところで代えた仰木さんとはまったく違う話で、あの時仰木さんは何か閃いたのか。ただ、あそこで出て打つから「仰木マジック」になる。そう思うと僕もちょくちょくマジックに貢献していますね(笑)。

日替わり打線は絶好のチャンスでもある

 しかし、今年のオリックスは主力がこれだけ不調で、そこにコロナや故障、さらに外国人も今一歩。その中でやむなくの日替わり打線です。

 逆から見れば、若手にとっては絶好のチャンス。そう思えばもっとガツガツ感を出してガムシャラに“獲りにくる選手”に出てきてほしい。

 主力が休んで戻ってきて当たり前のように元の位置に収まるようじゃ……。レギュラーを脅かす選手がいるからこそチームはまた強くなりますから。

 考え方によればここまでこれだけ打てなくても4位(5月17日現在)。吉田、福田、杉本が1軍に戻り、ファームではTが試合に出始め、徐々にメンバーが揃ってきて、そこへ主力の不振、離脱の中で様々な経験を積んだ選手たちの力が上手く絡んでいけば……。

 96年日本一の年はオールスター明けにイチローが1番から3番に回り、田口、大島、イチロー、ニールと固定された上位と、日替わりの下位が噛み合い、尻上がりの戦いでリーグ連覇、そこからの日本一でした。

 今年もここから吉田がスタメンに戻り、まずは1番福田、2番宗、3番吉田、4番杉本の4人でしっかり上位を組めるようになれば、自然と勝ち星はついてくるはずです。

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