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西武時代の大切なチームメイト・秋山翔吾に今、僕ができる“たった一つ”のこと

文春野球コラム ペナントレース2022

2022/05/26
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外野の隣で感じたアキの優しさ

 アキが西武に入団して1年目の2011年から、僕はチームメイトとして一緒にプレーした。その頃を思い出すと、当時からかなりの負けず嫌いだった。強い反骨心でG.G.佐藤からレギュラーを奪い、彼をイタリアへ追いやった。

 とにかく人一倍に努力する野球の虫。バット振り虫でした(笑)。

 プロ1年目からアキを見ていたけど、僕のプロ経験の中でもトップクラスの練習量だった。カラダも強く、身体能力も高い。天才タイプではないが、“努力の天才”タイプ。間違いなく、すぐにレギュラーになってライオンズの主力になる雰囲気がある選手だった。

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 2012年、僕はキャッチャーから外野手にコンバートして、特にライトのポジションを守ることが多かった。経験が浅く、不慣れなポジションで不安だったが、試合中にセンターのアキがいつも優しくポジション取りのアドバイスをジェスチャーで教えてくれた。

 ライトに飛んできたフライがたとえ平凡な当たりでも、「ライト!」と大きい声で教えてくれる。カバーリングにもしっかりきてくれて助かった。プロ2年目のアキが、僕にとって守備のときの心の支えだった。距離はすこし離れていたが、右隣にアキがいてくれて本当に心強かった。“ありがとう”。

 そのおかげで、徐々にだが守備に対する不安もやわらぎ、バッティングの方にも集中できるように。そして、あのファルケンボーグから奇跡のグランドスラムを打つことができた。これまで文春野球で書いてきたように、栗(栗山巧)のバット、ベンチでの癒しをくれたおかわり君(中村剛也)、そして守備の不安をやわらげてくれたアキのおかげだ! “ありがとう”。

 普段の私服姿はどこか田舎臭さを残し、正直、どこにでもいそうな青年だ。しかし、ユニフォームを着てフィールドにいる姿は一流のオーラさえ漂わせている。そのギャップがファンの心をつかんでいるのだろう。加えて、あの優しい性格と独特のキャラクターだ。

 アキと時を同じくして2020年からメジャーに挑戦している筒香嘉智もレイズ、ドジャースでは実力を発揮できなかったが、パイレーツで数少ないチャンスをつかんだ。そうした前例もある。

 僕から見た秋山の印象は、強いメンタル、真面目で努力家でストイック、粘り強さと信念の強さ、そして賢くて頭がいい。決して華麗なプレースタイルではないが、そのかわり泥臭さと田舎臭さがある。たくさんのものを兼ね備えているアキなら、十分にチャンスをつかみ取る可能性があるはずだ。

日本のファンのみんなと一緒に…

 とはいえ、メジャーリーグで繰り広げられるのは超ハイレベルのポジション争いだ。試合に出るだけでも難しいのに、レギュラーをつかむのは……僕には想像できないレベルで野球をしている。

 今、アメリカでもがき苦しみ、なんとかしようと必死になっているアキの力になりたい! 心からそう思うけど、実際は何もしてあげることができない……。

 だからこそ、今回のコラムはアキをテーマにしようと決めた。

 もしかして、いつか日本に帰ってくることになるかもしれない。日本にいる僕たちにすれば、所沢のベルーナドームでもう一度、秋山翔吾を見ることができるということだ。再びやって来るかもしれない日を楽しみにしてます。いつでも帰ってきなさい!

 日本から応援してるファンのみなさん!

 日本代表として、元ライオンズ戦士として、誇りとプライドをもってアメリカで必死になって戦っている「SHOGO AKIYAMA」に一緒にエールを送りましょう。ライオンズ時代の登場曲「人にやさしく」のアレです。

 それでは、みなさんいきますよ。せーの……ガンバレ~!

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