昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

なぜ「内輪もめ」は長引くのか 相撲とヤクザとジャニーズと

「週刊文春」12月21日号 最新レビュー

2017/12/16

 フリーライター鈴木智彦によれば「暴力団抗争は内輪もめの際に限り、長期・激化する」(注1)という。なぜなら組織同士がもめると近隣組織が仲裁にはいるが、内部抗争の場合、よその組が口出しすると内政干渉になるため、仲裁もなく、いつまでも続いてしまう。そして内部抗争の主な理由は跡目争いである。

八角親方の妙技あっての人事抗争劇

 今週の文春トップ記事は「貴乃花が許せない相撲協会“三悪人”」。内部抗争真っ只中の大相撲界の特集である。当時の横綱・日馬富士による貴ノ岩への暴行事件をきっかけに、八角理事長を中心とする日本相撲協会と貴乃花親方の対立が激化。記事では貴乃花が許せないという「三悪人」、八角、尾車親方、白鵬との裏事情を明かす。

 ここでまとめられる、ここ数年の日本相撲協会内の人事抗争劇が面白い。

八角理事長 ©文藝春秋

「北の湖さんが描いていた協会の将来像は、『八角を次期理事長に、一期か二期務めた後、いずれは若い貴乃花に禅譲させる』というもの」。大横綱だった北の湖の理事長体制のもと、ナンバー2の事業部長に八角、ナンバー3の総合企画部長に貴乃花が就く。北の湖は現役時代のガチンコ相撲で貴乃花を評価し、将来の理事長にと帝王教育を施す。

 ところが2015年11月、北の湖は死去。八角が理事長代行となる。

 八角が北の湖から引き継いだ任期の残りは3ヶ月。ここで勝負に出たのか、すぐさま理事長に格上げか、理事長代行続行かの投票に持ち込む。どのみち程なく理事長選があるのだからと、貴乃花は「続行」を主張するが、結果、6-5の1票差で八角は理事長の座を得る。そしてナンバー2の職に「相撲界随一の知略家」尾車親方を指名するのであった。

 見事である。

貴乃花 ©文藝春秋