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「法人化したら万事解決、というわけではないらしいです」漫画家・服部昇大が『恋はインボイス』を描いたワケ

漫画家・服部昇大さんインタビュー#1

2022/08/12
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──インボイス制度に関しても「すごいわかりやすい」「理解できました」と感謝のコメントが、Twitter投稿にたくさん寄せられています。ここまでわかりやすく解説マンガを描くためには、服部さんご自身も制度について、かなり勉強されたのでは。

服部 日頃仕事でお世話になっている税理士の先生にお聞きしたり、税理士サイトで調べたりはしました。でも、もともと商業高校出身なので数字には強いのかもしれません。簿記関連の授業も受けたので貸借対照表も書けますし、税務関係の専門用語もある程度ならわかるので、何も知らない人よりはハードルが低かったかもしれません。

難しいことをわかりやすく

──専門知識があると、逆に専門的になりすぎる場合もあります。そうならないために、どのようなことを意識されましたか?

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服部 インボイスは消費税に関する請求書や納品書が新しくなる制度です。制度を理解するためには法律の知識も必要ですが、「法律」も「税金」もと欲張ってマンガに入れてくと、それこそワケがわからなくなります。

 でもみんなが本当に知りたいことって、実はそんな難しいことではなく、「制度が始まるとなぜフリーランスは不利になると思われているのか」「制度開始までに、何をしなくてはいけないのか」というところだと思うんですよね。なので、制度のしくみをわかりやすく解説することと、そのために準備すべきことは何かを具体的に描くよう、心がけました。

©服部昇大/ホーム社

──「難しいことをわかりやすく」と言うのは簡単ですが、実際にやろうと思うと、なかなか大変ですよね……。

服部 そうですね。でも、一昨年Twitterで公開した『副業魔法少女』というマンガも、社会問題をテーマにしたギャグマンガだったので、同じようにできるんじゃないかという自信みたいなものはありました。

 コロナ禍で多様な働き方が見直され、副業も認められるようになってきたなかで、「副業×魔法少女×ヤンキー」という組み合わせで描いたマンガが結構反響があったんです。だから、今回もとにかく「ギャグマンガ」として描くことを意識しました。