現在、文春オンラインで『きょうも厄日です』を好評連載中の山本さほ。幼なじみの親友との思い出を描いた自伝的作品『岡崎に捧ぐ』など、自分の身のまわりで起きた出来事をこれまで作品に描いてきたエッセイマンガ家である。

 著作からはゲーム好きの一面はうかがい知ることができるが、自身のマンガ遍歴について語ることはこれまで多くなかった。山本さほがどのようなマンガを読んできたのか、どのようにして現在の作風を築いてきたのかを紐解いていく。

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いちばん影響を受けたマンガ作品は…

――最初に読んだマンガをお教えください。

山本 『あさりちゃん』(室山まゆみ)です。私は1985年生まれなのですが、9歳上の姉が『あさりちゃん』世代(TVアニメは1982~1983年放映)なので、家には姉の買ったコミックスがいっぱいありました。カバーがなくなってボロボロになるまで繰り返し読んだので、いちばん影響を受けた作品じゃないかと思います。

山本さほさん

――どのあたりに影響があるとお考えですか?

山本 私の作品には、キャラが軽快なステップで宙に浮いている絵がよく出てくると思うんですけど、下に影がついている……。

――『きょうも厄日です』3巻の冒頭のエピソード(「怪奇、消える一日…!!」)にも出てきますね。

山本 『あさりちゃん』が、ああいう動きをするんですよ。あれがすごくいいんですよね、軽やかで。

――あの印象的な絵は『あさりちゃん』インスパイアでしたか。

山本 あんまり私が『あさりちゃん』好きを公言するので、小学館の方が室山まゆみ先生に会わせてくれたんです。

――「室山まゆみ」は姉妹ユニットなんですよね。

山本 もう本当にあさりちゃんとタタミちゃんのような姉妹で、お会いしたときに涙が出ました。