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〈反対の署名運動も〉都立高入試に導入「英語スピーキングテスト」に“英語教育の専門家”東大教授が指摘する問題点

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「目的と手段が見事に矛盾しています」

不自然な状況下での発話が求められ「スピーキングの練習自体は意味があることで、しゃべることを通じて読む力も鍛えられます。ただ、ESAT-Jでは、限定された不自然な状況下での発話が求められ、本来目指すべき、自然に会話する力は評価できません。こうした特殊なテストにはそれ専用の対策が必須となりますが、これに時間を割くことは、本来の『話す力の向上』という目的からは外れており、非常にもったいないことです」

 

 また、英語教育の方針と試験内容が矛盾しているとも指摘する。

「日本にいると外国語を話す機会がないので、英語についても『不完全でいいから、まずしゃべろう』という号令がかけられてきました。ところが、このような試験を受けるとなれば自分が話す英語の発音や文法を厳密に気にしなければなりません。英語教育の専門家は口をそろえて、必要に迫られないとスピーキングの練習にならないと言います。そこでうまくいかなかった経験を通じて、本当の話す力が身についていくのです。話せるようになるには『まずは話してみる機会』と『失敗の経験』が必要で、画一的な対策が有用なESAT-Jでは、目的と手段が見事に矛盾しています」

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 だが、これだけではない。ESAT-Jはさらに複数の重大な問題を孕んでいるのだ。現在配信中の「週刊文春 電子版」では、別の専門家が指摘する採点の不公平性や地域格差、経済格差の問題、ベネッセが約5億円でESAT-Jの運営を受注した背景、ベネッセによる運営で懸念される問題などを詳しく報じている。

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〈反対の署名運動も〉都立高入試に導入「英語スピーキングテスト」に“英語教育の専門家”東大教授が指摘する問題点

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