WBC出場への最大の障害とされた移籍問題も、シーズン終盤に一年3000万ドル（約43億4300万円）でエンゼルスとの契約更新に合意。同球団のペリー・ミナシアンGMも「（WBCに）出場したいなら、出場して欲しい。素晴らしい経験だと思う」と本人に出場許可を伝えていることを明らかにしていた。
また開幕前に負担の大きい二刀流での出場についても「私は心配していない。彼ほど準備をしっかりする選手は見たことがない。一緒に考えて何が一番良い方法か、やっていきたい」と球団としては容認する考えを示している。
ただ一方で、投手としての出場を危惧する声があるのも事実だ。
「ダメージは蓄積される」あの選手から、危惧する声
「（WBC参加は）ただでさえ負担がかかり、ダメージは蓄積される」
こう語るのは大谷に続いて参戦表明したサンディエゴ・パドレスのダルビッシュ有投手だった。
第4回大会では、当時ヤンキースでプレーしていた田中将大投手（現楽天）も出場を辞退。WBC出場となれば通常と違う急ピッチな仕上げで、3月時点で全力投球が求められる。ダルビッシュはムリして出場すればレギュラーシーズンで大谷が活躍する「日常がなくなる可能性」をも警告していた。
おそらく大谷がWBCに二刀流で参加するとしても、一次、二次ラウンドの日本で一回、準決勝、決勝の米国で一回、それぞれ球数などを厳密に制限した登板が予想され、二刀流でのフル回転とはいきそうもないのが実情だ。
ただ、侍ジャパンの世界一奪回にとって、実は切実に必要なのは投手・大谷ではなく、打者・大谷だという現実もある。
第3回大会以降の2大会の日本代表は、プエルトリコと米国に準決勝で敗れた。敗因を分析すれば、投手陣は相手打線をある程度抑えたが、とにかく点が取れなかったことが大きかったことになる。
