プロ野球にとり2022年は入場制限を撤廃し、ようやく本格的にコロナ禍からの出口に向かって動き出した年だった。

 ところが2年間のブランクは大きく、結局12球団合計の観客動員は2107万1180人止まりに終わっている。右肩上がりに史上最高を記録した19年の2653万6962人からは、20%以上も観客数は減少した。23年はこの20%をいかに取り戻し、さらに上乗せできるか。そこに野球界の本当の出口が見えることになる。

 その起爆剤と期待されるのが、23年シーズン開幕直前の3月に予定されている第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)だ。

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“第二のイチロー”と期待される大谷翔平

 WBCは06年の第1回大会と09年の第2回大会を日本が連覇。野球の世界一を決める大会として、野球ファンだけではなく広く日本で認知されることになったが、その立役者となったのが当時、シアトル・マリナーズでプレーしていたイチロー外野手だった。

 第1回大会では王貞治監督(現ソフトバンクホークス球団会長)の下で世界一へと日本代表を引っ張ったイチローは、第2回大会でも韓国との決勝戦で決勝タイムリーを放ち、その姿は日本人の記憶に強く刻まれた。結果的にこの連覇が侍ジャパンの事業化など、国内での野球振興にも大きく貢献することになった。

 だからこそコロナ禍からの再出発を期す日本球界にとり、23年のWBCでの世界一奪回は悲願となり、そこで“第二のイチロー”と期待されるのが、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平投手だ。

2018年のMLBでの大谷翔平選手(左)と鈴木一朗(右)

 22年の大谷はベーブ・ルース以来の2桁勝利、2桁本塁打の達成と史上初の規定投球回、規定打席のダブルクリアを達成。シーズン終盤までヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手との熾烈なア・リーグMVP争いで日米を賑わせた。

「出たい気持ちはもちろんあります。怪我もあってタイミング的に出られない年もあったんですけど、選ばれればプレーしたい気持ちはある」

 かねてからこう発言してきた大谷は日本人メジャーリーガー第1号として出場を表明した。