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二刀流でのフル回転は難しくとも…

 NPBでプレーする日本人投手にとってWBCは、メジャーでプレーするためのショーケースとなり、力のある投手の代表入りにはさほど支障がない。今回もエースとなるオリックス・山本由伸投手にロッテ・佐々木朗希投手、DeNAの今永昇太投手などすぐにでもメジャーで通用する顔ぶれが揃うだろう。

 一方打線は長打力不足が最大の課題だ。もちろんヤクルト・村上宗隆内野手など楽しみな選手がいる。そこにメジャーでもトップクラスのスラッガーである打者・大谷が一枚加われば、この二大会で悩まされ続けた得点力不足が一気に解消するのは確実だ。

 大谷に村上、そこにシカゴ・カブスの鈴木誠也外野手やソフトバンクの柳田悠岐外野手が加われば、米国や中南米諸国にも引けを取らない強力打線となる。そこで初めて世界一奪回という悲願が見えてくるはずなのである。

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 二刀流でのフル回転は難しくとも、打者・大谷が参加すれば、侍ジャパンにとっては十分に世界一を狙えるインパクトがあるということだ。

©AFLO

 今大会では米国代表には早々に大物選手が参加の意思を示している。大谷の同僚でメジャー最高の打者と言われるエンゼルスのマイク・トラウト外野手がキャプテンを務め、フィラデルフィア・フィリーズのポール・ゴールドシュミット内野手、ロサンゼルス・ドジャースのムーキー・ベッツ外野手、セントルイス・カージナルスのノーラン・アレナド内野手などスーパースターが続々集結。さらにはドミニカ共和国、プエルトリコなど歴代優勝国もメジャーリーガーを軸にした強力布陣での参加が確実だ。

 そんなドリームチーム対決を制して、侍ジャパンが世界一奪回に成功すれば――。その熱をブースターにして、23年の日本球界は一気にコロナ禍から反転のシーズンとなるはずである。

◆このコラムは、政治、経済からスポーツや芸能まで、世の中の事象を幅広く網羅した『文藝春秋オピニオン 2023年の論点100』に掲載されています。