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「全員をカタギに…」神戸山口組を離脱した侠友会が解散 寺岡会長の“構成員を6代目山口組へ移籍させない決断”の理由とは

「全員をカタギに…」神戸山口組を離脱した侠友会が解散 寺岡会長の“構成員を6代目山口組へ移籍させない決断”の理由とは

2022/12/28

genre : ニュース, 社会

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「何かしらのトラブルから突発的に6代目(山口組)側と再び抗争になってしまうことも絶対にないとは言い切れない。指定暴力団から外してしまうと、抗争時に事務所の使用制限などの規制ができなくなる。当面は動向を見極める必要がある。指定暴力団から外すのは、神戸山口組との関係性がまったくなくなったことが確認されてからだろう」(同前)

 警察当局は、解散を表明した暴力団に対して慎重な態度で臨むことが多い。神戸山口組の中核組織で、岡山市に拠点を構える池田組が2020年7月に脱退を表明した時もそうだった。岡山県警は池田組の独立を認めず神戸山口組傘下として扱い、暴対法上の規制対象として注視を続けた。岡山県警が池田組について完全に独立した組織として活動していると認めたのは、脱退表明から1年以上が経過した2021年9月だった。

 しかも2カ月後に、岡山県公安委員会は池田組を独立した暴力団組織として、暴対法に基づき指定暴力団に指定している。侠友会についても、警察当局の判断にはいましばらく時間がかかるだろう。

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寺岡を見送る稲川会の幹部

特定抗争指定暴力団の解除はまだ先か

 警察がこれほど慎重なのは、解散を表明した後に名称を変えて活動を再開した組織が過去にあったためだった。福岡県に拠点がある道仁会では、3代目会長人事をめぐり内部で対立状態となり、2006年に一部のグループが離脱して九州誠道会を結成。道仁会と九州誠道会は双方で14人が死亡する激しい抗争を繰り広げた。

 しかし、福岡県公安委員会が2012年12月に、暴対法に基づき道仁会と九州誠道会の双方を特定抗争指定暴力団に指定し、設定された警戒区域でおおむね5人以上で集まると即逮捕などの厳しい規制に乗り出すと事件の発生は止まった。その後、道仁会は抗争終結の宣誓書を福岡県警に提出、九州誠道会は解散を届け出た。

 それ以降も福岡県警内部では抗争終結や九州誠道会の解散について事実かどうかを疑う捜査幹部が多かったが、実際に事件は止み、福岡県公安委員会は2014年6月に双方の特定抗争指定暴力団の指定を解除した。しかし、九州誠道会は後に浪川会と名称を変更して活動を再開、特定抗争指定暴力団の指定を解除したことで復活を許してしまったのが実態だった。

 寺岡は自らの引退と率いた組織である侠友会の解散を表明したが、警察当局の視線は当面、厳しいままになる。(文中敬称略)

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