国内最大の暴力団「6代目山口組」が2015年8月に分裂し、離脱した「神戸山口組」との間の対立抗争状態は7年が経過した。その一方で神戸山口組からさらに傘下の「山健組」や「池田組」などの中核組織が相次いで離脱し、神戸側は組織が縮小傾向にあるのが実態となっている。こうした経緯をたどるなか、今年秋になり6代目山口組が池田組を襲撃する事件が相次いだ。

 事件続発に対処するため、岡山県公安委員会などは12月8日、「6代目山口組と池田組が対立抗争状態にある」として暴力団対策法に基づき双方を「特定抗争指定暴力団」に指定。活動に対して強力な規制に乗り出した。6代目山口組は神戸山口組との間でも特定抗争指定暴力団とされているため、「ダブルでの指定」(警察当局の捜査幹部)となっている。(全2回/1回目)

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6代目山口組系幹部が理髪店で池田組組長を襲撃するも返り討ちに遭い、店内は血まみれに…

 6代目山口組と池田組を特定抗争指定暴力団とするにあたり、最も大きな要因となった事件が10月26日、岡山市内の理髪店で発生した。池田組組長の池田孝志が散髪に訪れていたところ、刃渡り約18センチのサバイバルナイフを持った6代目山口組系幹部に襲撃されたのだ。

事件が起きた理髪店

 だが、襲撃犯は池田のボディーガードの組員らに取り押さえられて返り討ちに遭い、店内は血まみれとなった。池田は無事で、6代目山口組系幹部は殺人未遂容疑で逮捕された。さらに、その日の夜には同市内のマンションに駐車してあった池田の車に向けた発砲事件も発生した。逮捕されたのは別の6代目山口組系幹部だった。

負傷して血を流す山健組系の幹部

 いずれの事件も住宅や商店が立ち並ぶ地域で一般市民が事件に巻き込まれる危険性が高いため、特定抗争指定暴力団への指定に踏み切った背景がある。警察当局の捜査幹部が解説する。

「一連の事件で、6代目(山口組)側からの襲撃に対して、今のところ池田組からの返し(報復)はないが、対立抗争状態にあると認定できないわけではない。何より地域住民が巻き添えになるような危険を排除することが最も重要だ」

 さらに、「2020年1月に6代目(山口組)と神戸(山口組)を特定抗争指定暴力団とした際も状況は同じだった」と指摘したうえで次のように振り返った。