国内最大の暴力団「6代目山口組」が2015年8月に分裂し、離脱した「神戸山口組」の双方が特定抗争指定暴力団に指定され、活動が厳しく規制されている。こうした状況下でさらに神戸山口組から脱退した「池田組」も6代目山口組との間で対立抗争状態にあるとして12月8日に3例目の特定抗争指定暴力団に指定され、構図は複雑化している。
特定抗争指定暴力団となると、警戒区域で「おおむね5人以上で集まる」などの禁止行為が発覚すると中止命令などを経ずに即座に逮捕される。このため組員らは定例の会合などは警戒区域外で開催しているほか、新幹線で移動する際には分散して乗車するなど、行動に神経をとがらせているのが実態となっている。
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6代目山口組最高幹部と直系組長ら数十人が警戒区域外で「事始め式」
6代目山口組最高幹部らが特定抗争指定暴力団として禁止事項に違反しないよう、警戒して行動せざるを得ない出来事があった。12月13日、6代目山口組は組長の司忍、ナンバー2である若頭の高山清司ら最高幹部らが出席して「事始め式」と呼ばれる行事を開催した。場所は傘下組織である国領屋一家(静岡県浜松市)の事務所だった。直参と呼ばれる直系組長らも数十人が集まったことが警察当局によって確認された。
6代目山口組総本部がある神戸市と、司や高山の出身母体である弘道会が本部事務所を置く名古屋市は、いずれも各地の公安委員会が警戒区域に設定しているため、5人以上で集まると即座に逮捕されてしまうことへの配慮だった。そもそも警戒区域では人数に関係なく事務所への立ち入りが禁じられている。関西地方に拠点を構える6代目山口組系幹部が内情を打ち明ける。
「定例の会合は当然のことながら警戒区域外に移動して開催している。警戒区域内で複数の車で移動する際には、5人以上での集合と警察の介入を招かないように車間距離を十分に取ることにしている。バカバカしいことで逮捕されることがないよう注意を払えばよいだけ」