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《3例目の特定抗争指定》「ヤクザが5人以上集まったら即逮捕」警察はどうやって暴力団の“秘密の会合場所”を把握しているのか?

2022/12/19

genre : ニュース, 社会

夜間などで不鮮明な画像もクリアーにするソフトを使うと表情まで浮かび上がる

 こうした捜査は「顔認証システム」と呼ばれている。東京や大阪、名古屋、神戸などの大都市だけでなく、国内では各地の主要都市、その周辺地域にいたるまで防犯カメラは幅広く設置されている。国内最大の繁華街とされる東京・新宿の歌舞伎町はほぼ全体が防犯カメラによってカバーされている。

 その他の地域でも、ひったくりなどの屋外の事件だけでなく、建物内で事件を起こしても、出入り口から逃走する姿が確認されれば、防犯カメラの画像データをつなぎ合わせることで逃走先まで特定できる。

写真はイメージ ©iStock

「集合していたようだ」との情報があれば、防犯カメラの画像データの点を結び付けて線としていき、その線が行きつく先が「5人以上で集合した場所」となるということだ。夜間などで画像が不鮮明な場合でも、画像をクリアーにするソフトを使うと表情まで浮かび上がるという。

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13人の神戸山口組系幹部らが警戒区域の飲食店で会食して初逮捕

 かつて、5人以上で集合していた事件が摘発されたことがあった。当時の神戸山口組系の幹部らが2020年12月、警戒区域に設定されていた岡山市内の飲食店に13人で集まり会食していたとして、岡山県警は2021年1月、暴対法違反(多数集合)容疑で、全員を逮捕した。この事件が初のケースとなった。

神戸山口組の井上邦雄組長

 6代目山口組の勢力は1都1道2府40県とほぼ全国に及んでいる。このため、警戒区域内となっている神戸市の総本部や名古屋市の弘道会本部などが使用できなくとも、警戒区域外には自由に利用できる傘下の2次団体、3次団体の事務所や関連施設は多い。そのため、会合は自由に開かれているのが実態だ。

 だが、前述のように警戒区域内での移動には神経をとがらせた行動をとっている。警察との暗闘は今後も続くことになりそうだ。(文中敬称略)

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