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《3例目の特定抗争指定》「ヤクザが5人以上集まったら即逮捕」警察はどうやって暴力団の“秘密の会合場所”を把握しているのか?

2022/12/19

genre : ニュース, 社会

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新幹線を利用する際は分散して乗車

 このように警戒したうえでの行動は今年6月にもあった。司や高山ら6代目山口組の最高幹部らが友好組織である稲川会山川一家(川崎市)の事務所を訪問した際には、JR新横浜駅で東海道新幹線を降りた司、高山らが時間をずらして改札口に現れた。出発地点のJR名古屋駅は警戒区域であるため東海道新幹線に乗車する際に5人以上で同時に乗り込むと、乗車前のホーム上で逮捕される可能性があったからとされている。

6代目山口組の高山清司若頭

 川崎訪問の目的は、体調を崩していた稲川会総裁の清田次郎のお見舞いだった。面会を終えて帰路に就く際にも司らは、JR新横浜駅で分散して乗車する姿が警察当局によって確認された。

「構成員を顔写真データベースでヒットさせる」

 警察庁の統計によると、最新データとなる2021年末時点での6代目山口組の構成員は約4000人、神戸山口組は約510人、池田組は約80人となっている。警察にとって人海戦術はお手の物だとしても、これだけの数の組員の動向を把握するために捜査員が張り付いて監視するのは物理的に不可能なはず。だが、密かに集合していた場合などの捜査手法について、警察当局の幹部は「顔写真データベースでヒットさせる」と自信をのぞかせ次のように解説する。

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「6代目山口組、神戸山口組、池田組のいずれも逮捕歴がある組員がかなりの割合でいる。暴力団に限らず、逮捕した容疑者は『被疑者写真』という顔写真を撮影する手続きがある。この顔写真の画像データが蓄積されており、検索することで顔写真の人物の氏名、所属組織、肩書などがすぐに分かるようにデータベース化されている」

 このように前置きしたうえで次のように補足した。

「やたらと追いかけ回して行動を確認するのではなく、『対立抗争に向けた謀議のために会合があったようだ』との情報を入手した場合、その地域の防犯カメラの画像データを解析して、集合した実態を解明する。警戒区域内でおおむね5人以上で集合していたら強制捜査に着手する」

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