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「どうせ船橋で開業するなら…」四ツ谷で愛された「大衆そば屋」が閉店、5年ぶりに再会した“元店長”が語ったこと

「どうせ船橋で開業するなら…」四ツ谷で愛された「大衆そば屋」が閉店、5年ぶりに再会した“元店長”が語ったこと

2023/03/28
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まずは「小海老天つけそば」を注文

 さっそく「小海老天つけそば」を注文することにした。「四谷政吉」時代からの人気メニューだ。山崎さんの流れるような調理捌きをみながら、どんな思いで店を始めたのかを訊いてみると、なかなか素敵なストーリーがあることがわかってきた。

 山崎さんは千葉県市川市出身で、船橋を含めてこの辺りは幼い時から馴染みのある場所。相談相手や友人も多かったという。そばが好きで、いつかそば屋を自分でやりたいという思いは若い時から強かったという。私が知り合った当時もそうした将来の夢をよく話していた。「四谷政吉」を辞めた後もケータリング事業の立ち上げなどを手掛けそのチャンスをうかがっていたそうだ。

 そして、色々な人気そば屋などを食べ歩くうちに、自分がどんなそば屋をやりたいかという考えがまとまってきたという。それは一言でいえば「そばの多様な味を地元の食材を使って提供したい」ということだと山崎さんはいう。

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山崎大さんは熱く語る

 王道(老舗そば屋が提供する伝統ある味)から新道(新進気鋭のそば屋が提供する新しい味)まで、既存の食べ方に捉われずに多種多様なそばのメニューを提供していこうと山崎さんは考えた。そして、どうせ船橋で開業するなら、生産者の思いが詰まった地産地消的な食材を使いたいという思いも生まれて来たという。

お店に貼られた口上がいい
注文した「小海老天つけそば」

 5分ほどで「小海老天つけそば」が到着した。つけ汁は赤味が綺麗なタイプである。そばは細麺でその量は多い。小海老の揚げ具合もよい。

 まず冷たいつけ汁をひとくち。本枯れ鰹節・宗田節・鯖節で出汁をとった口当たりのよいきりっとした味である。そばをつけて食べてみる。少し星が入ったそばはコシが強く香りもよい。小海老は5尾で注文都度揚げ。ブラックタイガーを使用していて、食べるとプリッとした歯ごたえとアツアツの味が広がる。「四谷政吉」時代ではつけ汁は温かいタイプだったのだが、むしろ冷たい方が合うように感じられた。

細めの麺はコシも香りもよい
小海老天はアツアツでうまい
本枯れ3種で出汁をとったつけ汁が秀逸である
そばとつけ汁、小海老天のバランスがよい

続けて「肉つけそば」も食べてみた

 あっという間に平らげてしまったので、すぐに「肉つけそば」を追加注文した。こちらも5分ほどで到着した。