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《写真多数》どうしても飲み込めなかった“ドリアンがゆ”、プルンプルンのオタマジャクシ、強烈にカビ臭い保存食…「秘境で出会ったヤバい飯」

40カ国以上取材したカメラマンの「世界のメシ」#2

2023/04/23
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このネズミの丸焼きに加えて出てきた“スゴい匂いの保存食”に…

 そしてその日、母ちゃんはクイに添えて大量のチューニョを出してくれた。

 チューニョとは、乾燥と冷凍を繰り返して作るジャガイモの保存食。その原理は現代のフリーズドライと基本的に同じだ。寒い時期の夜、ジャガイモを屋外に並べて凍らせる。昼、高山の強い日差しでそのジャガイモが解凍されると細胞壁が壊れて水分が出る。それを絞る。これを繰り返すことで、カラカラに乾燥したチューニョができるのだ。

アンデスはジャガイモの故郷。様々な種類のじゃがいもが育てられ、メニューに合わせて使われている

 もちろんそのままでは硬くて食べられない。じっくり水で戻してから、スープに入れたり、蒸したりして調理する。今回も茹でたチューニョが、クイの丸焼きについて供された。

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チューニョはアンデスの重要な伝統食。調理する前に水で戻して使用する

 しかしこれが、かなりカビ臭い。母ちゃんは体調を崩して弱った私のために、貴重なクイを捌いて塩焼きにし、エネルギー源としてチューニョを茹でてくれたのだ。ここは食べなければ失礼なのはいうまでもない。しかしだ。それは頭では分かっていても、すでに体力のなかった私にはどうすることもできなかった。

柔らかくなったら、煮込んだりスープに入れたりして調理する
チューニョと新鮮なじゃがいも、人参、肉の盛り合わせ。私のために作ってくれた豪華な一皿だったが…

 ほとんど手をつけることができなかったクイとチューニョの盛り合わせは、私にとって本当に苦い思い出のメニューなのだ。

写真=阪口克

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

《写真多数》どうしても飲み込めなかった“ドリアンがゆ”、プルンプルンのオタマジャクシ、強烈にカビ臭い保存食…「秘境で出会ったヤバい飯」

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