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羽生結弦に“泣きながら感動”している「産経社説」の熱い着氷

各紙感動社説の「舞いっぷり」を読み比べ

2018/02/19
note

産経の感動ぶりが、ちょっとすごい

 産経は、

「羽生金メダル 感謝の心が育てた快挙だ」

 タイトルからすでに訓示の香りがするが、読み進めると実はまったくそうではなかった。ひとことで言うと「熱い」のである。冒頭は、

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《なんと強い男だろう。》

《ありったけの賛辞を贈りたい。》

 ああ、産経師匠が羽生に抱きついてきた。(※想像です)

©JMPA

 そして賛辞をおくる。

《五輪王者となってからも両足の故障や、公式練習での他の選手との衝突事故、内臓疾患、持病のぜんそくなどに悩まされ続けた。だが羽生は、その度に強くなって復活し、関係者への感謝の言葉を忘れなかった。》

 ここで一気にボルテージはあがる。

《そして最大のピンチが、平昌五輪を目前に控えた右足首の故障である。五輪連覇を果たした羽生が平昌で感謝の言葉を述べた相手は「がんばってくれた右足首」であり、「羽生結弦を育ててくれた全ての人々」だった。》

 さぁ、フィニッシュ!

《五輪連覇が、感謝の気持ちを忘れぬ男の偉業であることに感動を覚える。賛辞を惜しまぬ、それが理由でもある。》

「男」を入れてくる産経師匠

 産経師匠、泣きながら感動している!

 そうとしか思えない熱い文章である。

 それにしても羽生結弦を評するのに「なんと強い男だろう」とか「感謝の気持ちを忘れぬ男」とか、そのたびに「男」を入れてくる産経師匠。フィギュアスケートの華やかな会場でオイオイ涙するおじさんが一人いる感じか。ちょっとだけ暑苦しい。

産経新聞2月18日「主張」より 「感謝の気持ちを忘れぬ男の偉業」という言葉がある