新聞を擬人化するとおじさんである。小難しいイメージがある社説も「大御所の師匠が世の中に対し小言や訓示を垂れている」と思って読めばちょっと楽しくなる。
では、大御所の師匠は「羽生結弦の金メダル」についてどう反応したか。社説で羽生選手を取り上げたのは、毎日、読売、産経、東京新聞の4紙(2月18日)。
まず毎日。
「羽生選手が金、宇野選手が銀 心から快挙をたたえたい」
冒頭で《若い2人がとてつもない金字塔を打ち立てた。》とご満悦の毎日師匠。
《羽生選手は過去にもけがや病気でシーズン中に苦しんだ経験がある。しかし「逆境が自分を強くする」と試練を前向きにとらえ、リンクに戻ってきた。今回も見事な復活劇だ。》
「逆境が自分を強くする」の部分、おじさんがいかにも好きそう。結びの言葉は《2人がともに切磋琢磨し、これからも日本のフィギュア界をけん引していってほしい。》と校長先生のように締めた。
読売社説はまるで「日本の総監督」みたいだ
続いて読売。
「羽生金・宇野銀 歴史に名を刻む五輪連覇だ」
冒頭は《偉業として、ずっと語り継がれるだろう。》
みんなが思っていることをあらためて大きな声で言ってくれる読売師匠。
《羽生選手は、今大会で日本勢初の金メダルをもたらしてくれた。他の競技でも、日本選手の活躍が目立つ。メダル数も着実に増えている。順調な前半戦だ。》
読売の場合は訓示というより、「金メダルをもたらしてくれた」「順調な前半戦だ」というあたりに個人より日本という総監督気分がみえる。