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“2点取る応援”と“4点取る応援”は全く違う…スワローズ元応援団が教える「チームを勝たせる応援」とは

文春野球コラム ペナントレース2023

2023/06/07
note

山田哲人のファンファーレ繰り返しは怖い

 また、ファンファーレがある選手は途中でアウトになることがないように基本的に最初から応援歌に。私は怖くて今聞かれる「山田哲人ファンファーレ3回繰り返しからの応援歌」は使わなかったなぁ……。

 しかし、応援の“配球”が正解だったかどうかはファンの方の反応しかありません。反応が良ければ、今日は喜んでもらえた! と楽しい晩酌になりますし、悪ければ、朝まで寝られないこともよくありました。

「2点取る応援」と「4点取る応援」は全く違う

 そうそう、お客さんの反応で忘れられないことが一つあります。

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「応援のピークを何処にするのか」と先述しましたが、例えば2点を高い確率(といってもまあ10%とかですが)で取る応援と、可能性は低くなるけど4点取る応援のピークは違います。経験的にですがピークを後ろに持ってきた方が大量点に繋がっていきます。

 残りイニングがこのくらいで、この後の打順がこうだから、ここで早めにチャンステーマを使って2点を確実に取っていけば最終的に勝てるな、とか、もうここで4点取らないと負けるから、回らなかったらゴメンナサイであえて後ろに引っ張るか、という判断をしていました(もちろんプレーするのは選手だし、本当に寄与しているかはわかりませんが)。

「1回も傘を開けないで帰るのは嫌……」と半泣きしていたあの子

 まだチャンステーマもなく7回裏開始時に東京音頭が流れなかった時代の話。

 9回裏4点差でリードを担当する直前、近くに座っていた2人組のうち1人が「1回も傘開けないで帰るのは嫌……」と半泣きでした。聞くと地方から夏休みを利用して出てきたとの事。うーん…「10%の確率で2点を取って東京音頭やって帰るのと、可能性は低くなるけど4点取れるかもしれないのと、どっちがいい?」と聞いたら絞り出すような声で「2点……」というので(今思えば凄く残酷なことしたね)、応援のピークを早めて、2点きっちり取って試合終了。台を降りて「これでいいね?」と言った時のその子のびっくりした顔が今も忘れられないし、本当にその選択が正解だったのか、応援団としてあるまじき行為だったのか、引退した今でも夢に出て悩むときがあります(そしてその子はまだファンでいてくれているだろうか?)。

俺たちがここにいる!って愛を叫ぼう!

 さて、長くなってしまいましたが、6月に入ってスワローズも連勝中!

 12連敗なんか、4連勝何回かやれば消えてなくなるんだからさ。愚痴叫ぶために球場行くわけじゃないでしょ? 球場に行って前向いて声出して、俺たちがここにいる!って愛を叫ぼう!

 まだシーズンは続きます! 引き続き、応援よろしくお願いいたします!

◆ ◆ ◆

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