1月下旬、各地の都道府県警察を監督する警察庁が2017年の懲戒処分者数を発表した。公表資料によれば、その年の懲戒処分は全国で260件。前年(2016年)の266件とほぼ変わらなかった結果だが、目を引くのは「事由別」にまとめられた数字だ。14分類の中から警察不祥事のワースト3を挙げると、3位は「交通事故・違反」の40件。2位が「窃盗・詐欺・横領等」で57件。ともに法令違反であり、2者の合計が100に迫ることには驚きを禁じ得ない。だがもっと驚くべきは、12年から6年間にわたり事由別でトップの座を守り続けている不祥事の存在だ。

警察庁が入る合同庁舎ビル ©文藝春秋

懲戒処分の断トツ1位は「異性関係」

 資料の表記のまま記すと、それは「異性関係」。2017年も断トツの83件を記録し、懲戒処分全体の3割以上を占めている。漠然とした言いまわしからは職場不倫や水商売がらみのトラブルぐらいしか想像できないが、当事者の処分は決して軽いものではなく、最も厳しい「免職」、つまりクビになったケースが7件あった。職を失うに値するほどの「異性関係」とは、いったいどういうものなのか。

 

 筆者は2015年暮れ、地元・北海道警察への公文書開示請求を通じ、警察の不祥事には発表されていないものが多数あることを知った。以来、定期的にその記録を入手し、未発表のケースを検証し続けている。成果の一部は17年秋、単行本『見えない不祥事』(リーダーズノート出版)にまとめたが、当時未発表だった万引きや詐欺、ひき逃げなどの警察官の犯罪は、今に至るまで公表されていない。

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 その未発表不祥事の中には、「異性関係」に分類されたと思われるものがいくつもあった。開示された公文書を紐解いてみると、それはちょっとした不倫などという牧歌的な話ではなかった。