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山本 一郎
2018/03/01

高給取りだけど働かない既得権益層が残る現実

 一方で、働き方改革の目線からは思い切り外れている派遣労働の現場では、空前の人手不足であるはずが、労働者の賃金はむしろ下がるという整合性のない事実があります。まあ、簡単に言えば払われるべき賃金がどこかに消えているわけですよ。巷で転職サイトや派遣、バイトの宣伝が数多く乱舞するのは「人手不足なので、むしろ安く人を仕入れられる企業ほど競争上有利になる」というブラック化圧力みたいなものがあるんじゃないかとすら思うんですよね。

人手不足でも派遣時給の下落続く 16カ月連続前年割れ:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27257040S8A220C1X11000/

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 経営陣が「もっと人を解雇しやすくして、流動性を増やしながら職業訓練を充実させてほしい」という希望を持つ一方、労働組合や左派は正規雇用死守、その争いの結果により、派遣社員や若年層労働者の非正規化が固定されてしまい、多少労働環境が悪くてブラックでも正社員での働き口があればそこで我慢する傾向が強くなって若年層の低賃金化が進む、という実に残念な構造になっておるのでしょう。そこには、高給取りだけど働かない中高年が既得権益層になってしまい、民間も役職定年制を設けたり割増退職金を支払ったりして頑張って追い出そうとしているという残念な日本の現実もあります。

 そして、結局今回もまとまらないことでしょう。労働時間を争点にしたら、異常データをもとに戦うしかないでしょうからね。せめて、職業の範囲や年収をきちんと切って、これは高給取りの働かないおっさん対策とフリーランスや高給専門職のための制度ですよ、って説明していれば、左派が何か言っても「あれ? 金持ちの肩持つんですか? 労働貴族は豪放でございますねえ」と煽って終わる話だったんですけどね。

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