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「AI時代に生き残れない中間管理職はこんな人」――冨山和彦の正解

AI経営の第一人者が未来を予測 #3

2018/03/05
note

どんな管理職が生き残れるのか?

 会社のなかでも、AI時代になれば中間管理職の8割は必要なくなるでしょう。これからは、単なるホウレンソウ的な仕事、とくに報告・連絡はもう必要ないです。AIによって自動的にできてしまうので。そのため、相談ごとのところだけ残るでしょう。ということは、相談上手である必要があります。人間的に非常に豊かな人でないと相談相手としては使えません。あるいは本当のリーダーシップ、もしくはクリエイティビティのあるリーダーシップが必要になります。いわゆるソフトサイドのスキルですね。ルールもなにもなくて、どうしてよいか分からないような現場で、新しいルールを作り出して、現場の問題解決ができる。そんな管理職が生き残ります。

冨山和彦氏 ©平松市聖/文藝春秋

 くどいようですけど、ルールベースで正解に辿り着くタイプの仕事はなくなっていくので、今のままだと仕事の6割ぐらいはなくなってしまいますね、特に大きな会社ほどその傾向は強いです。サラリーマン社会では、自分で能動的に動くよりも、上司の正解を探って指示通りに動くほうが安全です。自分で勝手に動いて地雷を踏んでしまうと、えらい勢いで怒られる。その結果、ルールベースの仕事しかできない人間が育ちやすい。受け身でものを考え、事前調整して保険をかけるようなタイプ。そのような中間管理職が、今後は一番危ないのではないか。

©近藤俊哉/文藝春秋

 こうならないためには、どうするか。たとえば、今、大企業に勤めている人でも、みずから手をあげて子会社に出向したり、ベンチャーに転職して、マネジメント能力を鍛えることです。ややこしい状況で仕事をせざるをえない状況に自分を追い込み、常に自分で判断するというクセがつけられるからです。50代になるともう修正するのは難しいので、30代、40代から考えていったほうがいいですね。

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#4に続く

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*本シリーズは第8回「~hontoで学ぶ~」「経営共創基盤代表取締役CEO冨山和彦 特別講義『AI経営で会社は甦る』」(2017年4月17日)より収録・構成しました。  

AI経営で会社は甦る

冨山 和彦(著)

文藝春秋
2017年3月29日 発売

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「AI時代に生き残れない中間管理職はこんな人」――冨山和彦の正解

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