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「既得権を握る上の世代を打ち破る方法」――冨山和彦の正解

AI経営の第一人者が未来を予測 #4

2018/03/05
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“黒船来航”で崩壊する瞬間こそ革命のチャンス

 ですから、もし古い会社で革命をやろうとしているのなら、手を変え品を変えて改革の努力を持続的にやりながら、ある意味では部分的に妥協なのかもしれない努力を続けながら、黒船がやってくる瞬間、あるいは下関戦争で海外勢にボコボコにされちゃう瞬間、をガッと掴んでいくのが、私はポイントだと思っています。今回みたいにAIやIoTイノベーションで何かがワッと起きたときは、本当はチャンスなんです。

©平松市聖/文藝春秋

 そのチャンスを逸さずに掴むと、だいたいは大丈夫です。潰れちゃう会社というのは、それを逸した会社なんですよ。日立と東芝を分けたのはそれだと思います。

 2007〜09年というのはすごいチャンスだったんです。リーマン・ショックがあったので。そのタイミングで、本当に構造的な改革にまで持っていく意志を経営者が持っていた会社と、その瞬間の対症療法的な対策で、そのあと戻ればまたお腹痛くなってしまう対策しかできなかった会社が、そこで分かれたと私は思っているんです。会社には必ず、幸か不幸かそういうチャンスは訪れます。ですからそこをがっつり掴んでもらって、ちゃんと革命を起こしてもらう。

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©iStock.com

 それからもうひとつ、革命になったあとでも、必ず反動が起きます。明治の革命は明治10年までかかっていますよね。明治維新で明治政権ができてから西南戦争まで、10年ほどかかっています。ということは次の戦いは、革命を不可逆的にするためのバトルが待っているわけです。私は日立がやっぱり素晴らしいなと思っているのは、おそらく中西宏明会長(元社長)は、まだ革命途上との感覚を持たれていらっしゃるところです。でも普通は、2〜3年で疲れてやめちゃうんですよ。だからみなさんも、革命後も、コンスタントにしぶとくやってください。

#5に続く

●講演会のお知らせ
2018年ビジネス書グランプリ グロービス経営大学院特別賞受賞!
『AI経営で会社は甦る』著者 冨山和彦さん講演会「AI経営『勝利のシナリオ』」
4月9日(月)19:00〜(18:30開場) 於文藝春秋西館地下ホール
AI時代、日本の取るべき戦略は? あなたとあなたの会社が生き残るには? Q&Aタイムあり。
お申し込み先 https://bunshunlive23.peatix.com/?lang=ja

*本シリーズは第8回「~hontoで学ぶ~」「経営共創基盤代表取締役CEO冨山和彦 特別講義『AI経営で会社は甦る』」(2017年4月17日)より収録・構成しました。  

AI経営で会社は甦る

冨山 和彦(著)

文藝春秋
2017年3月29日 発売

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「既得権を握る上の世代を打ち破る方法」――冨山和彦の正解

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